ちあきの星空コラム
第258回 火星が地球に接近 (2024/12/29)
1月12日に火星が地球に最接近!
火星と地球が接近します。1月12日22時37分にお互いが最も接近し、その後、また離れていきます。
今回は大接近とはならず、他の惑星(金星、木星、土星など)ほど大きくは見えませんが、それでも天体望遠鏡を使って、表面の模様も確認できます。
肉眼で見ても、赤く明るく輝く様子は異様ともいえるほどの神秘的な輝きです。
最接近時には-(マイナス)1.4等級の明るさで輝きます。
位置はふたご座の1等星ポルックスとかに座の散開星団M44プレセぺ星団の間付近を毎日少しずつ移動しているように見えます。赤い色で明るく輝いて付近のどの星よりも明るいので、必ずみつけることができます。
冬の星空
1月は、冬の星座で埋め尽くされています。
秋の星座では、1等星がみなみのうお座のフォーマルハウト1個だけだったのですが、冬の星座の中には1等星が7個見えます。
まず、オリオン座には赤いベテルギウスと白いリゲル。おおいぬ座のシリウスにこいぬ座のプロキオン。ふたご座のポルックス、御者座のカペラ、そして、おうし座のアルデバランがオレンジ色に輝いています。
加えて、関東地方よりも低緯度の地方では南の地平線近くにりゅうこつ座のカノープスを見ることができます。そうすると1等星は8個になりますね。
さらに、この冬、写真で示すように木星と火星が、煌々と明るく輝いていて、シリウスを加えて大きな三角形をつくっていて、星空を見上げる楽しみが、わいてきます。
ぜひ、確認してみましょう。
1月の惑星
水星
水星は1月上旬には明け方の南東の低空に見えますが、徐々に太陽に近い位置となり、中旬、下旬はに観測できなくなります。
(明るさ-0.4~-0.9等級)
金星
宵の明星として、夕方の南西の空に明るく輝いており、1月10日に東方最大離角を迎えます。
観測最適の時期といえます。
(明るさ-4.5~-4.8等級)
火星
1月12日に地球に最接近しますので、とても明るく輝いて見えます。
ふたご座の1等星ポルックスに近い位置なので、明るさの比較をすると火星の方が明るいことに気づきます。他の星に比べて赤く輝いています。天体望遠鏡があれば、表面の模様も観察してみましょう。
(明るさ-1.2~-1.1等級)
木星
西の空では金星が明るく輝き、東の空では木星が煌々と輝いて見えます。
おうし座の角の部分に位置し、1等星のアルデバランも近くに輝いていますから、すぐに見つけることができます。(-2.6~-2.4等級)
土星
日没時から南西の空に見ることができ、天体望遠鏡では細い環を確認できます。
(1.1~1.1等級)
1月の天文情報
(月齢は正午の値)
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
1 | 水 | 1.2 | 元日 |
2 | 木 | 2.2 | |
3 | 金 | 3.2 | 夕方~宵に細い月と金星が接近(南西の空) |
4 | 土 | 4.2 | 土星と月が接近 しぶんぎ座流星群が極大 |
5 | 日 | 5.2 | 小寒(二十四節気) |
6 | 月 | 6.2 | 月が天の赤道を通過北半球へ |
7 | 火 | 7.2 | 上弦の月 |
8 | 水 | 8.2 | 月の距離が最近 |
9 | 木 | 9.2 | |
10 | 金 | 10.2 | 金星が東方最大離角 |
11 | 土 | 11.2 | 月と木星が並ぶ |
12 | 日 | 12.2 | 火星最接近 月の赤緯が最北 |
13 | 月 | 13.2 | 成人の日 |
14 | 火 | 14.2 | 満月(ウルフムーン) 月と火星が最接近(明け方) |
15 | 水 | 15.2 | |
16 | 木 | 16.2 | |
17 | 金 | 17.2 | 火星が衝(ふたご座) |
18 | 土 | 18.2 | |
19 | 日 | 19.2 | 金星と土星が最接近 |
20 | 月 | 20.2 | 大寒(二十四節気) |
21 | 火 | 21.2 | 月の距離が最遠 |
22 | 水 | 22.2 | 下弦の月 |
23 | 木 | 23.2 | 火星とポルックスが最接近 |
24 | 金 | 24.2 | |
25 | 土 | 25.2 | |
26 | 日 | 26.2 | 月の赤緯が最南 |
27 | 月 | 27.2 | |
28 | 火 | 28.2 | |
29 | 水 | 29.2 | 新月 月が水星に最接近 |
30 | 木 | 0.6 | |
31 | 金 | 1.6 |
1月の星空案内図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。