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ちあきの星空コラム

第255回 紫金山・アトラス彗星を見る- 10/16速報追加 (2024/10/16)

※10月16日、<速報>紫金山・アトラス彗星が明るく見えた!を追加しました。ご覧ください。

紫金山・アトラス彗星を見よう!

昨年発見され、今年秋には肉眼で見えるほど明るくなると予想されていた紫金山・アトラス彗星は、各地の天文台での観測の結果から、あまり明るくならないのではないかという見解が今年の夏に出ていました。
しかし、9月に入ってからの新聞やネットでの情報を見ていますと、10月中旬頃には、肉眼で見られる彗星となるだろうとの予報も出てきました。

1998年夕空に肉眼で見られたヘール・ボップ彗星

そこで、10月に見られる紫金山・アトラス彗星の位置を調べてみたのが下の図です。
紫金山・アトラス彗星は、太陽に最も近づく近日点通過が、9月27日で、この直後に最も明るくなると予想されます。
地球に最も近づくのは、10月12日で、この後は、地球から遠ざかるともにだんだんと暗くります。10月12日以前は、地球から見て太陽の方向に近いため、明け方、夕方のまだ、暗くなる前の明るい時にしか観測できませんので、一般的には観測には向きません。
彗星を見るチャンスは10月12日から20日頃が実際の観測条件から考えてよい時期といえましょう。
日没から1時間くらいたって薄明が終わるころ、双眼鏡などを利用して、図にしたがって西の空をさがしてみましょう。
都会の空で確実に見えるかどうかはわかりませんが、期待は膨らみます。郊外に出かけて光害の少ないところで観測すれば必ず見られると予想しています。
ご自身の目でじっさいに確かめることが、とても重要といえます。
もし、見られたらカメラでぜひ撮影にもチャランジしてみましょう。

<速報 10月15日>紫金山・アトラス彗星が明るく見えた!

予想どおり紫金山・アトラス彗星が夕空で明るく見えるようになりました。
10月13日に撮影した写真2枚をご覧ください。
おおよそ10月20日頃まで見られると思いますので、夕暮れどきの西空をさがしてみましょう!

  

 

10月の惑星

水星

10月1日に外合となり、太陽の向こう側に位置しますので、観測できませんし、その後も低空にしか見られませんので、10月中は観測には向きません。
(明るさ-1.7~-0.3等級)

金星

太陽が西の空に沈んだ後、宵の明星として西の夕空の低空に見ることができます。
とても明るく、まだほかの星が輝きだす前から圧倒的な明るさを持ってみることができます。
ぜひみつけてみましょう。
(明るさ-3.9~-4.0等級)

火星

深夜に東の空から昇ってきます。赤く輝いているので、他の星とは区別しやすく、すぐに見つけることができます。現在、ふたご座の中に位置し、2025年1月の地球最接近に向けて明るく見えるようになってきました。
天体望遠鏡で見ると、小さな楕円形に見え、気流の良い日には表面の模様も見られるようになります。(明るさ0.5~0.1等級)

木星

おうし座の中でとても明るく輝いています。
天体望遠鏡で見ると縞模様が見られます。明け方まで観測できます。
(-2.3~-2.5等級)

土星

日没後に南東の空、みずがめ座の中で輝いています。一晩中観測できます。本体を取り巻く環の傾きが小さくなった姿を天体望遠鏡で確認しましょう。
(0.7~0.8等級)

10月の天文情報

(月齢は正午の値)

 

曜日月齢天文現象など
28.0
29.0月が天の赤道を通過南半球へ
0.3新月 月の距離が最遠
1.3
2.3
3.3夕方の西空で細い月と金星が接近
4.3
5.3寒露(二十四節気)
6.3月の赤緯が最南
107.3
118.3上弦の月
129.3紫金山・アトラス彗星が地球と最接近
1310.3
1411.3スポーツの日 月と土星が接近
1512.3後の月(十三夜)
1613.3月が天の赤道を通過北半球へ
1714.3満月(ハンターズムーン)本年最大の満月(スーパームーン)
1815.3
1916.3
2017.3
2118.3オリオン座流星群が極大
2219.3月の赤緯が最北
2320.3霜降(二十四節気)
2421.3下弦の月 月が火星に最接近
2522.3
2623.3
2724.3
2825.3
2926.3月が天の赤道を通過南半球へ
3027.3月の距離が最遠
3128.3
10月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。