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ちあきの星空コラム

第254回 彗星は見えるのか? (2024/09/02)

紫金山・アトラス彗星は見られるだろうか?

今年の10月に明るくなって見えるだろうと予想されている「紫金山・アトラス」彗星は、すでに各地の天文台などで確認され、写真にも撮られています。
誰もが肉眼で見えるような明るさになるように期待していることと思いますが、今までの観測結果からは期待通りに明るくなるかどうか心配されています。
来月は、最新情報をお届けしますので、ご期待ください。
佐治天文台で撮影された写真を掲げます。

鳥取市さじアストロパーク(佐治天文台)で撮影された紫金山・アトラス彗星(中央やや右側の尾が伸びたような星が彗星です)

土星を見よう

9月8日に土星が衝となり、いよいよ観測の好機となります。
形状は、昨年に比べると環の傾きが小さくなり、細く見えます。
土星の見える方向は、夕方は東の空、みずがめ座に位置しています。
真南に見えるようになるのは深夜となりますが、高度角は45度くらいで、見やすい位置となります。
9月以降、来年の1月頃まで観測しやすい位置関係に見えますから、この機会にぜひ、天体観望会などに出かけて土星を天体望遠鏡で眺めてみましょう。

今年の土星  撮影:川端隆幸

中秋の名月

中秋の名月

旧暦の8月15日に見られる十五夜の月を「中秋の名月」と呼びます。
毎年、9月ごろ、中秋の名月となるのですが、この時期になりますと夕立もなく、丸い大きな月を見ることができる年が多くなります。
今年の中秋の名月は、9月17日です。
旧暦では、月の満ち欠けに合わせて暦をつくりますが、新月(月齢0)の日が1日となりますので、月齢が14のときに暦では15日となることが多くなるのです。つまり、中秋の名月は必ずしも満月とはいえず、だいたい満月頃ということになります。満月の1日前だったり2日前だったりする年も多くあるのがじっさいです。
今年は、下表のように満月の1日前ですが、見た目はほとんど満月に近い状態で見えることでしょう。晴れて美しい月が輝くといいですね。

中秋の名月と満月の関係(今年から5年間)
年(西暦)中秋の名月満月
20249月17日9月18日
202510月6日10月7日
20269月25日9月27日
20279月15日9月16日
202810月3日10月4日

9月の惑星

水星

9月5日に西方最大離角を迎え、観測好機となります。明け方の東の空、低空に輝きます。
(明るさ0.5~-1.7等級)

金星

宵の明星として、夕空の中、西の空に明るく輝いています。
6月5日に外合を迎え、それ以降は宵の明星として夕方の西の空に見えています。
とても明るく、夕空の赤く染まった西空の中で他のどの星よりも明るく輝きますので、ぜひみつけてみましょう。
(明るさ-3.8~-3.9等級)

火星

2025年1月の最接近にむけて地球に接近してきていますので、明るく見えるようになってきました。
おうし座の中にあり、8月14日には木星と接近して見えました。天体望遠鏡でみると、小さな楕円形に見え、表面の模様も見られるかもしれません。
(明るさ0.7~0.5等級)

木星

火星の近く、おうし座の中で輝いています。
とても明るく、天体望遠鏡で見ると縞模様が見られます。明け方まで観測できます。
(-2.1~-2.3等級)

土星

夕方から見ることができ、一晩中観測できる位置にあります。環の傾きが小さくなった姿を天体望遠鏡を使って確認しましょう。
(0.6~0.7等級)

9月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
27.7月が水星に最接近
28.7明け方の空に細い月と水星が見られる
0.0新月
1.0
2.0夕方の西空で細い月と金星が大接近 水星が西方最大離角
3.0
4.0白露(二十四節気)
5,0
6.0土星が衝
107.0月面Xが見える
118.0上弦の月
129.0月の距離が最遠
1310.0
1411.0
1512.0
1613.0敬老の日
1714.0中秋の名月 月が土星に最接近
1815.0満月(コーンムーン/ハーベストムーン) 月の距離が最近
1916.0
2017.0
2118.0
2219.0秋分の日 秋分(二十四節気)
2320.0振替休日 月と木星が並ぶ
2421.0月が木星の最接近
2522.0下弦の月 月の赤緯が最北
2623.0月と火星が接近
2724.0
2825.0紫金山・アトラス彗星が近日点を通過
2926.0
3027.0
9月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

9月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。