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ちあきの星空コラム

第253回 夏の夜空に流れ星 (2024/08/05)

ペルセウス座流星群を見よう

夏休みの期間中で最も華やかな天体ショーは、ペルセウス座流星群です。

今年は月齢的にも恵まれていて、流星がピークを迎える8月12の夜、月は上弦に近い半月状で、しかも深夜には西空に沈んでしまいますので、12日の深夜から13日の未明にかけては、とても良い条件で星空を眺めることができます。

もし、この日、夜空を観察することができない用事があったり、あるいはお天気が悪かったりして見ることができない場合でも、ペルセウス座流星群は8月11日から13日頃まで出現が期待されますので、ぜひ、あきらめずに都合の良い日、良い時間に夜空を眺め、流星をじっくりと待つといいでしょう。

ペルセウス座流星群に属している流星は、観察しているとペルセウス座の方角から流れてくるように観測され、流星が見られる位置はペルセウス座の方角に限らず、北も南もさらに西の空や天頂付近でも流星が流れる様子を見ることができます。

また、ペルセウス座の流星群とは関係のない散在流星と呼ばれる流星も時には見られ、にぎやかな星空を演出してくれます。

流れ星は、天のどの位置でも流れる可能性がありますので、通常のイスなどでみるよりもサマーベットなどリクライニングが可能なイスなどに腰掛けて、あるいは草むらなどにシートを敷いて寝っ転がり、楽な姿勢で流れ星を観察しましょう。

夏の大三角は天の川と一緒に見たい

自由研究などで夏の星座をみつけるときには、最初に「夏の大三角」をさがしましょう。

夏の大三角は大変みつけやすく、すぐにみつかることでしょう。

夏の大三角は3個の1等星で構成され、線で結ぶと大きな三角の形をしていますが、この中で最も明るい星がこと座のベガです。ベガと天の川を挟んで対岸に輝くのがわし座のアルタイル。そして、

もう一つ天の川の中に輝く星がはくちょう座のデネブです。

夏の大三角はこの3個の1等星で構成されています。

光害の少ない郊外の海辺や高原などに出かけて夏の大三角をさがしますと、ベガとアルタイルの間に淡い雲のように見られる「天の川」を発見することができます。そうしますと、デネブは天の川の中で輝いていることがわかります。

天の川は、銀河とも呼ばれ、日本では川に例えていますが、西洋ではミルキーウェイと呼んで、ミルクがほとばしったところだと呼ばれています。

夏の夜空でスターウォッチング(星見)を楽しむには、まずこの夏の大三角をみつけ、大三角のそれぞれの星に関係する星座を線で結んで確認しましょう。

次にその周辺に見られる星座さがしですが、星座は夏の大三角との位置から推測し、実際の星空と星図(または星座早見盤)との対比でさがしましょう。最近ではスマートフォンなどのソフトで星座を探すことができますので、それを利用してもいいでしょう。

たくさんの夏の星座や天の川をみつけてくださいね。

七夕まつり

夏の大三角の中で、こと座のベガは、日本の古来から伝わるものがたり「七夕」の織姫星で、わし座のアルタイルは彦星に相当します。

七夕のおまつりは各地で7月7日に行われますが、ひと月遅れの8月7日頃にお祝いするところも多く、宮城県仙台市の七夕まつりなどが有名です。

さらに、旧暦の七夕に相当する旧暦7月7日は、現在の暦でいうと今年は8月10日に相当します。この旧暦の七夕は「伝統的七夕」と呼ばれています。

旧暦=太陽太陰暦(月の動きを基準にした太陰暦であるが、太陽の動きからうるう月を入れたりして月日を定め、日本では明治5年まで使われてきた暦。現座、旧暦と呼ばれている)では、七夕は秋の季節(7月、8月、9月が秋)の行事でした。

現在使われている暦(グレゴリオ暦=新暦)では、7月7日は梅雨時となりますね。

伝統的七夕では、来年は8月29日、再来年は8月19日の予定となります。

また、伝統的七夕では、月齢は上弦の月の頃となり、月が天の川を渡るように移動するのも旧暦7月7日ころになっていますので、月を船にたとえ、織姫と彦星は月の船に乗って逢うという伝説もあります。

夏の星座

夏の大三角に関係する星座、こと座、わし座それにはくちょう座は、夏の星座の代表格といえますが、そのほかにも夏の星座はいくつもあります。

夏の大三角付近に見られる星座をさがしてみましょう。

三角形の中にはや座やこぎつね座があります。また、わし座のそばにはいるか座がみつかることと思います。

夏の大三角から天の川に沿って南に目を向ければ、さそり座、てんびん座それにいて座などがみつかります。さらにいて座の南(地平線近く)には、みなみのかんむり座が見られます。

さそり座の上には、へび座とへびつかい座が見られ、天頂付近にはヘルクレス座がみつかることでしょう。

いずれの星座も夏の大三角をみつけるような簡単な星座のパターンではありませんが、星図や星座早見を参照しながら星座どうしの位置関係に着目してじっくりさがしてみましょう。

夏の大三角

天の川を写す

夏の夜空には天の川が見られますので、郊外の海や山に出かけたときは、天の川をさがしてみましょう。天の川がみつかったら、写真に撮ってみませんか。

デジタルカメラでは、ISO感度セットを10000(1万)以上まで上げ、露出時間は2秒から8秒程度かけます。写真がブレないように三脚が必要になってきます。カメラを三脚にセットしたら、下の写真のように天の川を写すことができます。ピントは無限遠に合わせましょう。スマートフォンでも写せる機種があるかと思いますので、暗い空の場所にお出かけした際は、ぜひチャレンジしてみてください。

 

天の川のある星空:

星空を撮影するときのコツは、撮影時にシャッターを数秒間開けて露出を行います。当然、カメラブレが生じないように三脚にセットする必要があります。また、カメラ専用品のリモコンなどを用いてシャッターを押し、画面がブレないように注意する必要があります。

8月の惑星

水星

8月19日に内合となり、観測には適しません。月末には夜明け前の東の空に姿を現します。
(明るさ0.9~0.8等級)

金星

宵の明星として夕方の西の空に見えるようになりましたが、高度が低く、見やすくなるのは9月に入ってからになります。
(明るさ-3.8~-3.8等級)

火星

来年1月に地球に接近します。8月14日には木星の近くで輝いている様子が観察されます。
(明るさ0.9~0.7等級)

木星

明け方の東の空で、どの星よりも明るく煌々と輝いています。
(-2.0~-2.1等級)

土星

みずがめ座の中にあり、日没後まもなく姿を現します。その後、一晩中観測可能です。
(0.8~0.6等級)

8月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
26.2スターウィーク(1~7日) 月の赤緯が最北
27.2火星とヒヤデス星団が最接近
28.2
29.2新月 火星とアルデバランが最接近
0.7金星とレグルスが最接近
1.7夕方、細い月と金星が接近
2.7立秋(二十四節気)
3.7月が天の赤道を通過、南半球へ
4.7月の距離が最遠
105.7伝統的七夕(旧七夕) おとめ座スピカの食
116.7山の日
127.7振替休日  ペルセウス座流星群が極大
138.7上弦の月
149.7火星と木星が最接近
1510.7
1611.7月の赤緯が最南
1712.7
1813.7はくちょう座κ流星群が極大
1914.7
2015.7満月(スタージョンムーン)
2116.7月の距離が最近 月が土星に接近
2217.7処暑(二十四節気)  月が天の赤道を通過、北半球へ
2318.7
2419.7
2520.7
2621.7下弦の月
2722.7月が木星に最接近
2823.7明け方に月と火星、木星が並ぶ
2924.7
3025.7
3126.7明け方 細い月とプレセぺ星団が並ぶ
8月の星空案内図
南の星空

背景白

背景黒

北の星空

背景白

背景黒

8月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。