つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第251回 日本からオーロラが見られました! (2024/06/03)

日本でもオーロラが・・・

活発な太陽活動

本年5月8日から太陽の活発な活動により太陽黒点付近で爆発により大規模なフレアが発生し、太陽風によって大量のプラズマが地球に到達し、磁気嵐やオーロラの出現が見られました。
太陽の活発な活動は2024年から2026年ころまで続くといわれており、太陽の大規模なフレア現象が地球にどのような影響を与えるのか、ニュースなどに注目したいと思います。

日本でもオーロラ、磁気嵐も発生!

]地球周辺には磁気圏があり、太陽からやってくる太陽風(プラズマの流れ)を防いでくれています。
ところが、南極及び北極に近い高緯度地方の上空には太陽からのプラズマを防ぐことができない穴が開いており、そこから侵入するプラズマが、地球各地に影響を及ぼします。
大きなフレアが発生した時には影響が大きく、地球上では激しい磁気嵐の現象が見られ、日本でも5月8日から12日ころにかけて一部通信障害などが発生したようです。
プラズマ現象によりいつもは極付近、特に極らやや離れたオーロラベルトと呼ばれる領域には多くのオーロラが発生し、緯度が低い日本でも各地でオーロラが観測されました。
日本からも各地でオーロラの観測がなされ、写真撮影にも成功しています。
このような活発な太陽活動は、主に太陽黒点の付近で発生し、大きな黒点があることが確認されています。

天体望遠鏡で太陽を導入し、投影板に太陽を投影して太陽黒点を見たところ、巨大な黒点がみつかりました。この黒点の付近で爆発があり太陽フレアが発生し、太陽風によって地球まで放射線がやってきました。

11年周期でやってくる!

太陽は常に均等にエネルギーを放出しているわけではなく、11年の周期を持って活動の低迷期と活発な時期があるといわれています。
アマチュア天文観測家でも太陽黒点を継続して観測することによって、この周期をとらえている観測家もいます。
すなわち、太陽黒点が多く発生する活動期が、磁気嵐や低緯度の地域でも見られるオーロラの出現時期といえるのです。
じっさいに今年、とても大きな黒点が出現し、観測されています。
低緯度でもオーロラの撮影が各地で行われ、驚きのまた、感動のオーロラ画像を生み出してくれました。この太陽の活発な活動は、2026年ころまで続くといわれ、何度か低緯度オーロラを観測できるかもしれませんね。

太陽望遠鏡とiPhoneで撮影した太陽の様子(撮影:大川拓也)

今回は日本各地でオーロラが見られましたが、日本の中でも緯度の高い北海道では多くの写真が撮られたり、観測報告が見られました。
オーロラは、赤い光のほか、低空では緑色の光が見られるといわれており、現に私の友人の自然写真家の永井正氏のカナダイエローナイフでの撮影によるオーロラ写真を見ますと、とてもカラフルで、緑色のオーロラが明確に表現されています(写真参照)。
そして、今回、星仲間の浦辺守氏からは、5月12日に長野県茅野市で撮影した低緯度オーロラの写真もい掲載しています。さすがに日本からは低緯度でのオーロラ撮影となりますから、緑色のオーロラは見ることができませんが、みごとな赤いオーロラがとらえられています。ご覧ください。

日本でも低緯度オーロラが見られ、写真撮影にも成功しています。この写真は5月12日に長野県茅野市で撮影されたものです(撮影:浦辺 守)

高緯度の箇所ではオーロラの出現が多く見られますが、この写真は、カナダのイエローナイフで撮影された美しいオーロラと星空(天の川付近)が共演しているように見られる写真となったみごとな写真です(撮影:永井 正)

プラネタリウムで星座をさがす

6月は梅雨どきですね。この時期は星を見るチャンスが少なくなりますが、こうした時は、プラネタリウムでの星空観賞はいかがでしょうか。
プラネタリウムは、お天気に関係なく星や星座を楽しむことができます。プラネタリウムの番組には、事前に制作されたテーマでプログラムの内容を上映するいわゆる番組物と、今夜の星空などを投影して解説するいわゆる生解説による星空投影があります。
私の担当する足立区ギャラクシティの場合は、毎日、午後4時から星空投影による生解説をおこなっており、「今夜の星空」と呼ぶ生解説番組は、星座がわかりやい投影番組として人気があります。
私もこのギャラクシティのまるちたいけんドームで解説を担当しています。星空の投影に合わせて星座絵を出したり、流れ星を再現したりと、楽しく明るく入場者に星空を楽しんでいただいています。ときには、プラネタリウム開始前にお客さんから投影星座の希望などのリクエストをいただいて、それに対応して説明することもあり、生きた解説となるように心がけています。
このコラムを読んで、プラネタリウムに行きたいと思ったらぜひ、ギャラクシティまるちたいけんドームにもお越しください。

6月の惑星

6月は、夕空の中に惑星を肉眼でとらえることはできません。明け方の空で見ると、一度に惑星を見ることができます。今年の秋には土星をはじめ木製も見えるようになってきます。要ご期待!

水星

6月15日に外合をむかえ、観測は不適です。
(明るさ-0.8~-0.6等級)

金星

6月5日に外合を迎えますので、6「5月は観測不適となります。
(明るさ-4.0~-3.9等級)

火星

2025年1月に地球に接近しますが、現在、うお座からおひつじ座に見られます。
(明るさ1.1~1.0等級)

木星

明け方の東の空、低空に見られます。おうし座にあります。
(-1.8~-1.9等級)

土星

明け方の南の空で輝いています。みずがめ座の中にあります。
(1.2~1.1等級)

6月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
24.0月が天の赤道を通過 北半球へ
25.0月の距離が最近
26.0明け方細い月と火星が最接近
27.0金星が外合 水星と木星が最接近
28.0芒種(二十四節気) 月が木星に最接近
29.0新月
0.6
1.6月の赤緯が最北
2.6
103.6入梅 夕方細い月とプレセぺ星団が接近
114.6
125.6
136.6
147.6上弦の月 おとめ座β星の星食 月の距離が最遠
158.6月が天の赤道を通過南半球へ 水星が外合
169.6
1710.6
1811.6
1912.6
2013.6さそり座アンタレスの星食
2114.6夏至(二十四節気)
2215.6満月(ストロベリームーン)
2316.6
2417.6
2518.6
2619.6
2720.6月の距離が最近 月が土星に最接近
2821.6明け方月と土星が最接近 月が天の赤道を通過北半球へ
2922.6下弦の月
3023.6

6月の星空案内図

南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

6月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。