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ちあきの星空コラム

第243回 惑星は月とともに星雲星団は月のない日に! (2023/10/02)

月明かりと星空観察の関係は?

星空を眺めると星にはいろいろな明るさの星があることがわかります。このうち、明るい星は光害のある都会地でもよく見えますが、暗い星は、光害の少ない郊外地に行かないと見ることができません。さらに、天の川などは、光害の影響の少ない海や山に出かけないと見ることができません。

ところで、暗い星まで見られるかどうかの条件には、ほかにも要因があります。

それは、月明かりです。月は満ち欠けにより、形状が丸みを帯びていて明るく見えるときと、細い形状のさほど明るくない月が見られるときがあります。月が明るく輝いているときの星空は、暗い星まで見ることはできません。つまり、月の影響によって星空が、まち明かりと同様に見えにくいときがあります。日々、月を見ていると1か月の中で星空の見やすい時期と見にくい時期があることに気づかされます。したがって、夜は、晴れてさえいれば星座探しを楽しむことができるかというと、この月の影響を考慮しなければなりません。

月が明るいときは星見に適さないということがわかります。すなわち、満月の夜などは星座探しには不適といえます。満月の夜は、夕方から明け方までずっと夜空に満月が見えていて、星座探しなどの星見からすれば最悪といえます。満月及びその前後数日は同様のことがいえますが、月が昇ってくる前や月が沈んだ後であれば、星を見ることに支障はありませんので、満月前後を除けば星見を楽しむ夜空を見ることができます。

星座をかたちづくる星々の観察では、月明かりが支障になることがわかりましたが、惑星の観察では月明かりは関係なく、月が夜空に月が輝いているときでも問題なく観察できます。

したがって、月が夜空の中に見えないときや、見えていても細い月の場合は、星座探しや星雲、星団の観察に適しているといえ、惑星は、そうした月の位置や明るさに関係なく、いつでも夜空に見えているときは観察が可能といえます。

星空の観察の計画を立てるときは、月明かりの影響を考慮に入れて計画を立てましょう。

十三夜の月は、満月まであと少しといった具合に見え、中秋の
名月の翌月の十三夜は「後の月」と呼ばれて日本で独自に親し
まれてきました。今年は10月27日がその日に相当します。

今年の秋は土星と木星に注目!

10月には土星が見頃となります。天体望遠鏡を使って観察しましょう。星を見る天体観望会などに参加すれば、天体望遠鏡を持っていなくても土星の姿を観察できます。
土星の姿は、昨年に比べたら環の傾きが少なくなったように見られ、格好がすっきりとした土星に見えます。天体望遠鏡を使用して、30倍程度の倍率でも環の存在を十分に確認することができますが、できれば100倍程度の倍率をかけて観察しましょう。
土星の衛星タイタンも見えますので、確認してみましょう。
天体観望会では木星は東の低空に見られますが、本体の縞模様のほか、4個のガリレオ衛星も見ることができます。是非、観察してみましょう。

みずがめ座の中に見られる土星の姿(撮影:川端孝幸)

おひつじ座の中に見られる木星の姿(撮影:川端孝幸)

秋の星座をみつける

空気の澄んだ秋の星空の中で星座をさがしてみましょう。
星座早見か、下図の星図を利用して最初に秋の四辺形をみつけ、その四辺形を含むペガスス座を最初に確認しましょう。
次に、秋の四辺形の一角から伸びたアンドロメダ座の星々をたどり、アンドロメダ座がみつかると、さらにその北側にある天の川付近の星座、すなわち、カシオペヤ座、ペルセウス座それにケフェウス座をみつけましょう。
南の空に目をやると、低空に1等星のみなみのうお座のフォーマルハウトがみつかります。そのすぐ上にはみずがめ座があり、土星がその中で0.7等級の明るさで輝いています。
その西側にはがやぎ座もあります。
秋の星座の中には、1等星がフォーマルハウトしかありませんが、秋の澄んだ星空の中にあっては、それぞれの星座は比較的みつけやすいといえます。
ゆっくり、じっくりと秋の星座を楽しみましょう。

惑星情報

今月は、土星と木星が見頃といえます。

秋の星空の中で、星座をかたちづくる恒星がキラキラとまたたいて美しく見える中、惑星は、あまりまたたくこともなく、静かに光り地上まで送ってきています。

また、光害や月明かりにも関係なく楽しむことができるのが惑星の特徴です。

チャンスがあれば天体望遠鏡で観察してみましょう。

水星

今月の水星は、太陽の向こう側に位置していて観察に適しません。

金星

10月24日に西方最大離角を迎えます。すなわち、太陽から離れたところに見ることができるということになります。明け方の東の空高く-(マイナス)4.5等級程度の輝きを持っており、煌々と輝く様子を早起きをしてぜひ、見てみましょう。

天体望遠鏡で見ると、月と同様に満ち欠けをしているということを確認できます。

火星

火星は、位置が太陽に近いため、観察に不適といえます。

木星

木星は、おひつじ座の中に-2.8等級の明るい星として輝いています。

夕空では東の低空に見られますが、徐々に高度が高くなり、観察しやすくなります。

土星

土星は、観察の好機を迎えています。

南の空、おひつじ座の中にあって周囲の星々よりも明るく見えますので、すぐにみつけることができます。明るさは、およそ0.7等級と明るく、天体観察会など、天体望遠鏡を使って見るチャンスがあれば、環を持つその姿をぜひ、ご自身の眼で確かめましょう。

10月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
16.1月と木星が接近
17.1
18.1
19.1
20.1
21.1下弦の月
22.1
23.1寒露(二十四節気)
24.1スポーツの日 りゅう座流星群が極大
1025.1月の距離が最遠
1126.1細い月と金星が並ぶ
1227.1
1328.1月が天の赤道を通過、南半球へ
1429.1月が水星に最接近
150.4新月
161.4
172.4
183.4火星が地球から最遠
194.4
205.4水星が外合 月の赤緯が最南
216.4秋の土用
227.4上弦の月 オリオン座流星群が極大
238.4
249.4月と土星が接近
2510.4
2611.4月の距離が最近
2712.4月が天の赤道を通過、北半球へ 後の月(十三夜)
2813.4
2914.4満月 部分月食 月と木星が接近
3015.4
3116.4
10月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。秋の四辺形は、ペガスス座の中にある四角形のことです。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。