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ちあきの星空コラム

第236回 春分のころ (2023/03/01)

3月に入りますと比較的暖かい日もあり、冬から春へと季節が移りゆくことを感じますね。
暖かい日が何日か続くと、次は寒い日が何日かあって、また暖かくなるというように寒暖を繰り返しながらだんだんと暖かくなってまいります。三寒四温などといいますが、四季の移り変わりが気温に続いて動植物の変化などにも見られます。季節の変化を実感できるチャンスですね。
星空の世界も冬の星座が西の空に傾き、春の星座が見られるようになってまいります。

春分の日はどうして決めるのか?

今年は3月21日が春分の日と定められています。
国民の祝祭日にもなっているので学校や仕事がお休みのところも多くなっていますが、過去の年のカレンダーを見てみると春分の日が3月20日だったりすることもあり、固定された日付でないことがわかります。
これは、太陽の通り道である黄道(「こうどう」と読みます)と天の赤道とが交わる点のうち、太陽が南から北に通過するときを春分と定め、その日を春分の日としています。
秋分は、逆に天の赤道を太陽が北から南に通過する時をもって定められており、その日を秋分の日といいます。このことにより、春分、秋分の日は、国立天文台の暦計算によって導かれた日をもって閣議で決定され、国民の祝日として定められているのです。
一般に、春分の日や秋分の日には、昼の時間と夜の時間が同じ(約12時間ずつ)になるといわれています。しかし、厳密に言うと、日の出及び日没の定義により、やや時間差がでることや、さらに大気による太陽の浮き上がり現象などによって、必ずしもぴたり同じ時間とはなりませんが、おおよそ昼と夜の時間が同じ長さととらえても差し障りはないでしょう。

夕空に金星と木星が輝く

2月ころから夕方の西の空に、金星と木星が輝いているのに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。このふたつの惑星は、3月2日にもっとも接近して見られます。
金星が-(マイナス)3.9等、木星が-1.9等という他の星とは圧倒的に異なる明るさで輝いていますので、すぐにみつけることができるでしょう。
3月2日には、角度の約0.5度まで接近して見えます。この角度は月のほぼ直径と同じですから、いかに接近するかがおわかりになろうかと思います。
ぜひ、ご自身の目で確認しましょう。

2月22日の金星と木星。三日月が一緒に輝いていました

惑星情報

3月に観測しやすい惑星は、金星と火星です。
そのほかの惑星も含めまして、いかに解説しています。参考にしてください。

水星

3月17日に地球から見て太陽の向こう側に位置する外合(がいごう)となり、今月は観測には適しません。4月には日没後の西の空に見ることができるようになります。

金星

夕方の西の空に-3.9等級の明るい輝きで見られますので、ぜひ、日没後の西の空をご覧ください。

火星

昨年の12月1日に地球に最接近した後、現在は、おうし座の中で煌々と輝いている様子を確認できます。明るさは、月初めは-0.3等、月末には1.0等となり、徐々に暗くなってきますが、今月いっぱいまでは、見ごろといえましょう。

木星

3月2日の金星接近以降、夕空の中で日々、高度を下げて、4月12日には太陽の方向に位置する合(ごう)を迎えます。
したがって、木星の姿はしばらく見ることができなくなりますが、次に見られる位置は、明け方の東の空になります。

土星

2月17日に合となったばかりで、3月は観測できません。月末には明け方の東の空で見つけることができるようになります。

3月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
8.8月の赤緯が最北
9.8金星と木星が最接近
10.8
11.8月の距離が最遠
12.8
13.8啓蟄(二十四節気)
14.8満月
15.8
16.8月が天の赤道を通過南半球へ
1017.8
1118.8
1219.8
1320.8
1421.8
1522.8下弦の月
1623.8月の赤緯が最南
1724.8
1825.8春の彼岸
1926.8
2027.8月の距離が最近
2128.8春分の日 春分(二十四節気)
220.4新月 月が天の赤道を通過北半球へ
231.4
242.4細い月と金星が大接近
253.4
264.4月とプレアデス星団が接近
275.4
286.4月と火星が接近
297.4上弦の月
308.4
319.4月の距離が最遠
3月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

3月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。