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ちあきの星空コラム

第197回 部分日食が見られる (2019/12/02)

12月26日に部分日食が見られる

今年2回目の部分日食

今年は1月6日に部分日食が見られましたが、2回目の部分日食を12月26日に見ることができます。
地方によってその欠け具合や時刻がやや異なりますが、代表的な例として東京の場合では午後2時28分頃に欠け始めます。太陽の下部から欠け始めますので、日食メガネを使用して観察しましょう。
一番大きく欠ける食の最大は午後3時35分頃で、欠け具合は3分の1程度です。
食の終わりは、午後4時半頃ですが、残念ながら日没になるので、最後までは見ることができません。
今年の1月6日に見られた部分日食の写真をお見せします。

午前9時15分撮影 撮影地:茨城県牛久沼のほとりにて(以下場所同じ)

9時40分

10時6分

10時30分

10時55分

安全に日食を見る

太陽を直接見ると眼に悪い影響があります。部分日食で欠けている太陽も同様です。つまり、直接肉眼で太陽を見てはいけません。
日食の様子を観察するには、太陽専用の「日食メガネ」をご使用ください。
天体望遠鏡専門店やカメラ店などで日食メガネを購入し、これを利用して日食の様子を観察しましょう。
黒い下敷きやフィルム、あるいはガラスにろうそくの炎のススをつけたガラス片などは眼の中に有害な太陽からの光線を通過させてしまいますので、決して使用しないでください。日食メガネを必ず使って安全・安心な日食観察をお楽しみください。

太陽を直接見ないで日食メガネを用いて見ましょう!

市販されている日食メガネの例

12月15日未明ふたご座流星群を見よう!

流星群の起源

彗星の通った軌道上には、彗星から放出されたダスト(小さなごみ状の物質)が帯状に存在しています。このダストの帯の中を地球が通過するとたくさんのダストが地球の中に引き寄せられて流星となります。
一般的に宇宙をさまよっている物質が地球に落下すればそれは流星となるわけですが、あまり数は多くありません。その点、彗星に起因するダストに起因する流星は、多くの流れ星を作り出してくれます。これが流星群の流星なのです。
毎年12月14日から15日の夜にはふたご座流星群が見られます。
ふたご座流星群を観察すると、ふたご座の方向から流れているように見られることからふたご座流星群と呼んでいます。

今年のふたご座流星群は数多く見られるか?

今年の極大時刻は、12月15日午前2時頃と予想されていますから14日の夜から15日の明け方近くまでが見ごろとなります。
今年のこの時刻には、満月過ぎ(月齢18)の明るい月が空に輝いており、その結果、星座を形づくる恒星は月光に打ち消されて暗い星まで見ることができず、流星もまた、同様に暗いものは見ることができません。
それでもふたご座流星群の場合は明るく流れる流星が比較的多いので、十分流星を見て楽しむことができるでしょう。
見るための空の方角は、直接月を視野に入れない角度で夜空を仰ぎ見るのが望ましいといえます。さらに街灯や部屋の明かりもなるべく見えない位置を選んで観察する場所を決めましょう。
じっさいに見る場所としては、遠くの郊外まで出かける方もいらっしゃることと思いますが、気軽に見るには自宅のベランダや庭などの寒くなったらすぐに暖まることができる場所が望ましく、厚手のカーテンなどで部屋の明かりが漏れないように配慮して観察するといいでしょう。
1時間に何個流れたかを確認するだけでも立派な観察記録になります。
ぜひ、観察を楽しみましょう。

12月の惑星

今月の惑星の見え具合をそれぞれ解説します。
今月の見どころは夕空に輝く金星と土星です。
夕方の西の空に2星が近づいて輝いています。この2星は時刻の経過とともに西の空に沈んでしまいますので、日の入りの時刻直後から探すといいでしょう。相互の星が日々位置関係を変えていきますので、晴れていたらぜひ観察しましょう。

水星

11月28日に西方最大離角を迎えた水星は、12月に入っても明け方の東天に12月中旬くらいまではみることができます。近くには火星も見えますが、水星よりも暗く見えますので、要注意です。

金星

宵の明星として、夕方の西の空で輝いています。もちろん、一番星として見られる明るさで、誰でもみつけられることでしょう。
12月11日には土星と最接近します。
明るさは約-(マイナス)4等級を誇ります。

火星

今年は火星と地球との位置が離れており、1年を通して観測に適さない年でした。
しかし、いよいよ来年は10月に地球に接近しますので、大きく明るく見えるようになります。
そうしたことから今月はまだ火星はあまり明るく見えませんが、明け方の東の空で輝いています。12月中旬までは、水星と一緒に探せますので、比較的みつけやすいかもしれません。火星は色が他の星と比べてが赤いので、容易にわかります。明るさは1.6等級程度です。

木星

夕方に南西の空低く見られますが、12月28日には合となり太陽の方角に位置するようになりますので、夕方にも明け方にも見ることができなくなります。

土星

いて座の中にあります。夕方の西空の中に見られ、低空に見られとても条件が悪くなります。もし見えて、天体望遠鏡で見てみても大気の揺らぎによって、天体がゆらゆら揺れているように見え、観測には適していません。
明るさは0.5等級で、来年1月14日に合を迎えます。

12月の星空

12月の星空は、夕方から見られる秋の星座が時刻が進むにつれて冬の星座に入れ替わっていきます。
夜、寝る前に外に出て夜空を見上げてみましょう。
するとどうでしょうか。日周運動により夜空の星座は東から西へ移動し、深夜には冬の星座で埋め尽くされてしまいます。おうし座やオリオン座は高く輝き、おおいぬ座やふたご座も東の空から昇ってきて明るく輝いています。
末尾に付属する星図を参照し、冬の星座を本物の空で確かめましょう。

12月の天文情報

曜日月齢天文現象など
4.5
5.5
6.5
7.5上弦の月
8.5月の距離が最遠
9.5
10.5大雪(二十四節気)  月が天の赤道を通過(北半球へ)
11.5
12.5
1013.5
1114.5金星と土星が最接近
1215.5満月
1316.5
1417.5月の赤緯が最北
1518.5ふたご座流星群が極大
1619.5
1720.5
1821.5
1922.5下弦の月 月の距離が最近
2023.5月が天の赤道を通過(南半球へ)
2124.5
2225.5冬至(二十四節気)
2326.5月と火星が接近
2427.5
2528.5月が水星に最接近
2629.5新月 部分日食
27 0.9月の赤緯が最南 月が土星に最接近
28 1.9木星が合
292.9細い月と金星が接近
30 3.9
314.9
12月の星図
南の星空

12月の南の星空(背景黒)

12月の南の星空(背景白)

北の星空

12月の北の星空(背景黒)

12月の北の星空(背景白)

12月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。