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ちあきの星空コラム

第178回 春の星座 (2018/05/02)

1等星が3個見られる

春の星座には1等星が3個見られます。
しし座のレグルス、おとめ座のスピカ、それにうしかい座のアルクトゥールスです。この3個の星をじっさいに見ますと、個性が感じられます。
レグルスは、しし(ライオンの姿)の前足に相当する部分に見られ、ししの姿の前足の部分に相当し、他の星よりも明るく力強く輝いて見えます。
次にスピカは、おとめ座の中にありますが、この星は真珠色の輝きをしているといわれ、南の空にきらりと輝く様子はとても美しく感じます。星座の形はしし座ほど明快ではありませんが、スピカ付近の明るい星を結んで、乙女の姿を想像してみましょう。
さらに、アルクトゥールスですが、この星はおとめ座のスピカと比較すると色の違いがはっきりわかり、オレンジ色にとても明るく輝いています。

しし座は均整のとれた美しい星の配列で、人々は太古の昔からししの姿
として親しんでおり、レグルスの位置は前足の部分で明るく輝いています

おとめ座は、しし座のしっぽの部分に当たる2等星のデネボラの
すぐ左側にあり乙女の持つ麦の穂の位置にスピカは輝いています

うしかい座の星座配列は、結婚式などの引き出物についている「のし」の形に似
ています。アルクトゥールスは北斗七星の方からその曲がりに合わせて南の方向
方向にたどっていくとみつかり、さらにその曲線を延ばすとスピカにたどり着きます

星の配列を利用して、星座から次の星座へとたどっていける楽しみがあるのが春の星座の特徴です。
最初に北の空で北斗七星をみつけましょう。そうしましたら次は、そのひしゃく型の柄に相当する部分の曲がり具合から曲線をつくり、南の方向へ線を延長していきましょう。すると、アルクトゥールスにたどり着きます。さらにその線を延長していくとおとめ座のスピカにたどり着きます。これが「春の大曲線」です。
このアルクトゥールスとスピカにしし座の2等星デネボラを加えると、大きな正三角形ができ、こちらは「春の大三角」と呼ばれています。
下の写真を参考にして、ゆっくり、じっくり観察してみましょう。

春の大曲線と春の大三角を写真の中に記載してみました。

いよいよ惑星観測の時期到来

5月の空には宵の明星が見えていますが、みなさまはもう、見られたでしょうか。
春の宵に煌煌(こうこう)と輝く宵の明星(金星)は、西の空に一番星として、空が明るいうちから輝いて見えます。
その後、午後8時頃になると東の空から木星の明るい輝きも見えるようになります。
さらに、深夜になると、東の空から土星と火星も見られるようになってきます。ただし、この時間帯では金星の方は、既に西の地平線下に沈んでいて見ることができません。
肉眼でも十分楽しめますし、天体望遠鏡を使えばさらに各惑星の拡大した姿も見ることができます。惑星たちを見ることができる楽しみは、夏まで続き、今年の夏休みには各地で惑星を見る天体観望会が行われることを期待しています。夏まで続く楽しみをみんなで満喫しましょう。

5月の星空

5月の空は、大きな高気圧が張り出してくるときに、新緑の中に青空の美しさを感じることができますが、そうした夜は、星も輝いてはっきり見えます。
特に、1等星のあるしし座、おとめ座それにうしかい座は特に目立ってみつけやすいことでしょう。
また、2等星以下の星しかない星座でも、南の空のうみへび座やからす座は、星図と照らし合わせて星座さがしをすれば、比較的簡単にその星の配列をたどることができるでしょう。
しかし、かみのけ座やコップ座などは見つけにくい星座といえます。まず、主要な星座をみつけてみつけられた星座との位置関係を星図で確認してからじっくりさがしてみましょう。
北の空では、北斗七星が比較的みつけやすいので、まず、北斗七星をみつけ、周囲の星の位置からおおぐま座の全体像を把握しましょう。次に、北斗七星から北極星をみつけることができれば、こぐま座も比較的簡単にみつけることができます。
全天がスカッと晴れた夜で、月明かりがない日をねらって(今月は5日頃から20日頃までが好機)星座ウオッチングを楽しみましょう。

5月の天文情報

曜日月齢天文現象など
15.0
16.0八十八夜
17.0憲法記念日
18.0みどりの日
19.0こどもの日 立夏(二十四節気) 月の赤緯が最南
20.0月の距離が最遠 みずがめ座η流星群が極大
21.0
22.0下弦の月
23.0木星が衝
1024.0
1125.0
1226,0月が天の赤道を通過(北半球へ)
1327,0
1428.0
1529.0新月
160.6
171.6
182.6月の距離が最近
193.6月の赤緯が最北
204.6
215.6穀雨(二十四節気)
226.6上弦の月
237.6
248.6
259.6月が天の赤道を通過(南半球へ)
2610.6
2711,6月と木星が接近
2812.6
2913.6満月
3014.6
3115.6

5月の星図

南の星空

5月の南の星空(背景黒)

5月の南の星空(背景白)

北の星空

5月の北の星空(背景黒)

5月の北の星空(背景白)

5月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する位置によって使い分けましょう。
月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。