ちあきの星空コラム
第175回 寒さの中で星を見る (2018/02/01)
寒くない星見の方法
星見は野外で夜に行うことが原則ですから、冬は寒さとの戦いです。
ダウンなどの防寒服に身を固め、カイロやマフラーなどの防寒対策も必要となります。
そんな状況の中でも冬の星空の美しさにふれることによって、寒さも吹っ飛んでしまいます。
そうした感動の星見をすれば、むしろ、また星見をしたくなるのは私だけではないことと思います。
先月もつくば市と隣接する牛久市と龍ケ崎市でそれぞれ天体観望会を行いました。寒さの中にも子供たちの歓声を聞けばスタッフの寒さも吹っ飛んでしまいます。
寒がりの方でも自宅の庭などにちょっとだけ出て見るといった星見の楽しみ方でも星図や星座早見をもっていれば星見は楽しめます。
この時の秘訣は、室内で十分あたたまっておいて、外では身体が冷え切る前に星見を打ち切ることにすれば、さほど苦痛でもありません。
これを応用すればマイカーで高原や海岸近くの光害(ひかりがい)の少ないところに出かけた時も、車の中さえあたたかくしておけば寒くない星見が楽しめることでしょう。
冬は、星座の中に1等星が一番多く見られる季節。ぜひ、頑張って星見を楽しむことを期待します。
1月31日の皆既月食を観測しました
1月31日に皆既月食が見られることは1月の本コラムで皆様にお知らせしましたが、私の観測したいわき市ではお天気も良く、写真のように撮影することができましたのでご披露します。
明け方に見られる惑星と月
2月8日から2月12日にかけて、明け方に見られる惑星(木星、火星、土星)の近くを月が通過していく様子が見られます。
月は、2月8日にはてんびん座に位置する木星の付近で輝きますが、9日、10日にはさそり座にある1等星のアンタレスと今年の7月に大接近する火星の近くを通過していきます。
11日、12日には南東の地平線に近い、いて座の中にある土星の近くを通過します。
2月8日から12日に至るまで、毎朝早起きはつらいかもしれませんが、日々、細くなっていく月の姿の変化も楽しむことができます。
ぜひ、観測しましょう。
2月の星の美しさ
2月に入ると、いよいよ冬の星座が真南の方角に見られるようになります。
天文現象として特にこれといった現象はなくても、寒空に透き通るような夜空の中、星々のきらめきを楽しみましょう。
冬の空は、上層大気の流れ(気流)により、キラキラと輝きます。ひと時もじっとしていないこの星のまばたきは、星空の美しさの原点になっています。
オリオン座にはベテルギウスという赤い色をした1等星と白いリゲルが輝き、ほかに冬空の中にはおうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオンおおいぬ座のシリウスといった明るい星が見られますので、星の名前と星座の名前をぜひ、覚えましょう。
また、早起きして南の空を見上げると、今年の7月に15年ぶりに大接近する火星も見られ、併せて木星も輝いています。
写真は1月14日に撮影した明け方の南の方角の写真です。
早起きして惑星をみつけましょう。
2月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 木 | 15.0 | |
2 | 金 | 16.0 | レグルスの食(月に隠される) |
3 | 土 | 17.0 | |
4 | 日 | 18.0 | 立春(二十四節気) |
5 | 月 | 19.0 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
6 | 火 | 20.0 | |
7 | 水 | 21.0 | |
8 | 木 | 22.0 | 下弦の月 月と木星が接近 |
9 | 金 | 23.0 | |
10 | 土 | 24.0 | |
11 | 日 | 25.0 | 建国記念の日 月の距離が最遠 |
12 | 月 | 26.0 | 細い月と土星が接近 月の赤緯が最南 |
13 | 火 | 27.0 | |
14 | 水 | 28.0 | |
15 | 木 | 29.0 | |
16 | 金 | 0.2 | 新月 |
17 | 土 | 1.2 | |
18 | 日 | 2.2 | |
19 | 月 | 3.2 | 大寒(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
20 | 火 | 4.2 | |
21 | 水 | 5.2 | |
22 | 木 | 6.2 | |
23 | 金 | 7.2 | 上弦の月 |
24 | 土 | 8.2 | |
25 | 日 | 9.2 | |
26 | 月 | 10.2 | 月の赤緯が最北 |
27 | 火 | 11.2 | 月の距離が最近 |
28 | 水 | 12.2 |
2月の星図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。