ちあきの星空コラム
第137回 木枯らしの星空 (2014/12/02)
木枯らしの中で星空を見る
12月は、関東地方では晴天率が高く、星空もこの季節が最も美しく見られる時期といえます。通学や通勤の帰り道など、ちょっと星空を眺めてみましょう。
木枯らしの強い夜ほど星はまたたき、キラキラと輝きます。
風によって空気は流れ、特に上層大気の移動(ジェット気流)は、星々をまたたかせてその輝きをより一層、美しいものに仕上げてくれているのです。
眺めるだけでも楽しい星空ですが星座や星の名前を覚えるとより親しみがわいてきます。
12月は夕暮れ時が早く、星空を眺められる時間も多いといえますが、夜空が暗くなってくるとまもなく東の空から昇るすばる(和名、プレアデス星団のこと)そして同じおうし座の一部をなすヒヤデス星団が見られます。次にオリオン座が三ツ星を縦に配列して昇ってきます。
夕暮れ時の西空には、夏の大三角が天の川とともにまさに沈んでいく様子を見せてくれます。
現代生活において、日常的に星を見る習慣はありませんが、ちょっとだけでも星空を眺め、心の癒しに役立ててほしいと思います。
月と土星の大接近を見よう
12月20日の明け方東の空で月と土星が大接近した様子が見られます。
夜明け前の午前5時30分頃にスタンバイをして東の空を眺めてみましょう。そこには細い月とそのすぐそばに土星が接近している様子が見られます。
下図では12月19日の月が土星と相当離れていたのに20日になるととても近い位置まで近寄ることがわかります。
双眼鏡で見ればさらに詳しく、また、天体望遠鏡では環を持った土星の姿も観察できます。早起きをしてぜひ観察してみましょう。
ふたご座流星群は今年も見られる
12月14日にふたご座流星群が極大を迎えます。
ふたご座を放射点として夜空のどこに現れるかはその時になって見ないとわからず、夜空のあちこちに流れて見えることから、観察は寝転んで眺めるのが最適といえます。
ただし、地面は冷たいので、防寒対策を十分にして観察しましょう。
1時間ごとの流星数を数えるだけでも立派な観測になりますので、ぜひ、記録もとりましょう。
12月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 月 | 8.6 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
2 | 火 | 9.6 | |
3 | 水 | 10.6 | |
4 | 木 | 11.6 | |
5 | 金 | 12.6 | |
6 | 土 | 13.6 | 満月 |
7 | 日 | 14.6 | 大雪(二十四節気) 月の赤緯が最北 |
8 | 月 | 15.6 | |
9 | 火 | 16.6 | |
10 | 水 | 17.6 | |
11 | 木 | 18.6 | |
12 | 金 | 19.6 | |
13 | 土 | 20.6 | 月の距離が最遠 |
14 | 日 | 21.6 | 下弦の月 21時頃ふたご座流星群が大出現の予報 |
15 | 月 | 22.6 | 木星の衛星ガニメデがイオを隠す 月が天の赤道通過(南半球へ) |
16 | 火 | 23.6 | |
17 | 水 | 24.6 | 木星の衛星エウロパがイオを隠す |
18 | 木 | 25.6 | |
19 | 金 | 26.6 | |
20 | 土 | 27.6 | 月と土星が接近 |
21 | 日 | 28.6 | |
22 | 月 | 0.1 | 新月 冬至(二十四節気) 月の赤緯が最南 |
23 | 火 | 1.1 | 天皇誕生日 こぐま座流星群が極大 |
24 | 水 | 2.1 | |
25 | 木 | 3.1 | 月の距離が最近 |
26 | 金 | 4.1 | みずがめ座θ星の食 |
27 | 土 | 5.1 | |
28 | 日 | 6.1 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
29 | 月 | 7.1 | 上弦の月 木星の衛星ガニメデがイオを隠す |
30 | 火 | 8.1 | |
31 | 水 | 9.1 |
12月の星空
12月になると冬の星座が東の空から時間の経過とともに昇ってきます。
深夜になると夜空はすっかり冬の星座で埋め尽くされてしまいます。
星図を頼りに冬の星座をみつけましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。