ちあきの星空コラム
第103回 2月は宵の空が美しい! (2012/02/03)
宵がせまる西の空に注目
太陽が西の空に沈み、宵闇がせまってくる西空にまだ明るさが残っているうちから金星の煌々(こうこう)と輝く様子が見られるようになってきました。今年の冬から春にかけて、しばらくはこの金星の輝きを眺めることができます。
金星と木星の位置関係もだんだんと近づいてきますが、それに三日月などが加わるときはとても美しい光景として見ることができます。しかも2月の空は空気が澄んでいて遠くの山のシルエットや夜景などとともに風景として眺めると、その透明感のある美しさに感激すること請け合いです。
2月の下旬、25日から27日にかけては月と木星と金星の接近が見ごろをむかえます。上図を参考にしてください。また、過去の金星などの写真を4点掲げておきますが、写真より本物を見る感動をぜひ味わっていただきたいと思います。
金環日食情報
5月21日早朝に日本全土で見られる日食は、九州南部から福島県にかけては金環日食になり、そのほかの地域でも部分日食が見られます。5月までは毎月、情報をお知らせします。
太陽の欠け行く様子はとても印象的な現象ですが、眼を痛めないように専用の日食グラス(日食観測専用のメガネ)を買い求めて安全に観測しましょう。肉眼や下敷き、写真フィルムなどを通しての太陽観測は危険ですからやらないでください。
2月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 水 | 8.8 | |
2 | 木 | 9.8 | |
3 | 金 | 10.8 | 節分 月の赤緯が最北 |
4 | 土 | 11.8 | 立春(二十四節気) |
5 | 日 | 12.8 | |
6 | 月 | 13.8 | |
7 | 火 | 14.8 | |
8 | 水 | 15.8 | 満月 |
9 | 木 | 16.8 | |
10 | 金 | 17.8 | 月が天の赤道通過(南半球へ) 天王星と金星が接近 |
11 | 土 | 18.8 | 建国記念の日 |
12 | 日 | 19.8 | 月の距離が最近 月とおとめ座スピカが接近 |
13 | 月 | 20.8 | |
14 | 火 | 21.8 | |
15 | 水 | 22.8 | 下弦の月 |
16 | 木 | 23.8 | 月の赤緯が最南 |
17 | 金 | 24.8 | |
18 | 土 | 25.8 | |
19 | 日 | 26.8 | 雨水(二十四節気) |
20 | 月 | 27.8 | |
21 | 火 | 28.8 | |
22 | 水 | 0.2 | 新月 |
23 | 木 | 1.2 | 月が天の赤道通過(北半球へ) |
24 | 金 | 2.2 | |
25 | 土 | 3.2 | 月と金星が接近 |
26 | 日 | 4.2 | 月が金星の北を通過 |
27 | 月 | 5.2 | 月の距離が最遠 月と木星が接近 |
28 | 火 | 6.2 | |
29 | 日 | 7.2 |
2月の星空
2月は8日が満月となりますので、星座観察には上旬よりも中旬、下旬の方が月明かりの影響を受けないで星座観察には向いているといえます。
冬の満月は、夏場の季節に比べ天の高い位置で輝きますので、夜空が明るく、地上もとても明るくなります。つまり、星空も見えにくくなります。
満月を数日過ぎたころから星空をながめるチャンスがやってきますので、防寒をしっかりして冬のスターウオッチングをお楽しみください。
オリオン座をはじめ、冬の星座たちが煌めき、たくさんの星座たちに巡り合うことができることでしょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。