スタッフのお勧め
第7回 すし屋訪問~萬年喜鮨~ (2007/06/01)
コラムをご覧のみなさま。つくばもんへのアクセスをありがとうございます。さて、つくばもんのメインコンテンツつくば案内はご存知ですか?つくばのたくさんのお店情報満載のコンテンツなんです。
今回はその中でも、特にお勧めのおすし屋さん「萬年喜鮨」にお邪魔して、女将さんから話をうかがいました。
-まず朝は、仕入れから?
毎朝6時過ぎに自宅を出発し、土浦の魚市場に出かけます。また、築地の市場の業者から、仕入れが入ります。平潟港からも直送されます。
鮮度はどれも同じですが、築地は種類が豊富です。たとえば伊勢えびが急にほしいときは、築地の仕入れ業者へ、前日、伝えます。
平潟の仕入れ業者は、それぞれの店主の好み(質、大きさや形等)を把握しており、好みの魚が上がったら、携帯で連絡を入れてくれます。
- 仕入れが終わると仕込みですね
ちょうど今、鳥貝の仕込みをしているところです。市場には、うにのように板にのせた加工済のもありますが、できる限り殻付きのものを仕入れてます。
すし屋では、春の鳥貝、みる貝、初夏の新子(コハダの子ども)等は、待ち焦がれる季節を告げる代名詞なんです。
これから一時期しかない新子は、露店の金魚よりも小さいお魚を開いて酢〆にします。
この仕込みは、魚が傷まないように氷水で手を冷やしながらの気を使う急ぎ仕事ですが、盆ざるに広げた100枚からのお魚は、まるで大輪の花のようです。
当店では、1貫に3・4枚付ける大きさで握り始め、2週間もすると2枚・1枚と あっという間に大きくなります。(最初、市場に出始める物はもっともっと小さくて高値です)「新子はまだ?」とファンの多いお魚なんです。
-お酢にもこだわりがあるんですよね
はい、鹿児島のつぼ酢使ってます。ツンととがった味ではない、まろやかなお酢で、シャリに合わせていてもむせたりしません。
酢飯だけでなく〆ものや酢のものやバッテラにもこのお酢を使っていて、もずく・バッテラは好評です。よく お客様から、「萬年喜のすしは、食後、喉がかわかないよね」と言われます。これは、たぶん、合わせ酢に塩分が少ないからだと思います。
-1年を通して忙しい時期は、いつごろ?
忙しい時期は、12月の忘年会シーズンから。3月4月は歓送迎会なんでしょうね、忘年会より忙しくて、5月の母の日まで忙しさは続きます。今年は特に3月 が忙しかった。夏は静かになっちゃうんですよ。
-夏の特徴は?
7・8月は魚の産卵期なので、海底に網を張る底引き網漁は禁止されていて、水揚げは全般的に減少し種類も少なくなります。
-え? では夏のおすしは、あんまり・・・ってこと?
いえいえ、底引き網はダメでも、一本釣りや定置網等、他の漁なら大丈夫!
しかも底引き網漁はごっそりとるので魚に傷がついたり弱ったりすることがありますが、他の漁だと傷みづらいんですね。
だから、夏は多少値は張っても元気で上質な魚が食べられるんですよ。
-夏の旬のネタは?
茨城だから夏はスズキね。常磐沖のスズキは日本一なんですって!
旬の魚も出場によって違いますから。つくばにいらっしゃるなら是非召し上がっていただきたいと思います。
あとは、東京湾内のアナゴ。石川県の岩がき。ほかに勝浦や銚子のカツオ。(これからは、気仙沼港からが、ほとんどです。)
カツオは2月ぐらいから出てくるけど、夏になると全体に脂が乗って、おいしくなってくるんです。
そして毎年7月10日前後に出始めるサンマ。すっかり秋になると脂が落ちてくるので一般にすし店では出さなくなりますね。
また、梅雨時から夏にかけては何といっても光り物! お魚の管理はかなり気を使うけれど、この時期のおすしが私の一番のおすすめです
-他にお勧めのネタは?
梅雨時はイワシですね。大きいイワシは高いんです。1kg7000円もします。それに膜が張ってるぐらい油がのってるんです。お客さんに「なんでイワシが こんなに高いんだ!」と叱られたことがありましたが、召し上がっていただいたら、本当に満足されていました。
-焼き魚はいかがですか?
私は焼き魚の秋刀魚は食べられないんです。
普通、生で食べられなくなった魚は、焼くか煮るかして出しますが、主人の考えは、「造りにしておいしくなくなった魚は、煮ても焼いてもやっぱりおいしくな いね」ので、生で出せなくなった魚を焼き魚にしては出しません。
結果私達が、生で食べられなくなった魚を、焼い食べるんです。前は焼き魚が大好きだったんですけど、食べ過ぎて苦手になってしまいました。(笑)
- すしを食べるマナーはありますか?
マナーは特にありません。お客さんの好きなように召し上がってもらってます。
ただ、「この様にした方が、より美味しくきれいに召し上がれるのかな?」というのはあります。
・味の薄いものから始め、濃いもの脂っこいものを食べて、玉子でしめる。
・握りずしは、横にしてネタに醤油をつける。
・散らし寿司、刺身も、山葵をネタにつけてから、醤油につける。そうすると皿がシャリや山葵で汚れません。
当店の命は鮮度なので、、、。
うちの人は、そのまんまを食べていただくのが好きなんです。
かろうじて醤油や塩をつけてるぐらい(笑)
若い頃は、私もタコに甘ダレをつけて食べていたんですけど、段々食べつけていくと、そのまんまがよくなってきました。
うちの店は鮮度優先だから、いっぱい仕入れて次の日に残すということは、できるだけしないようにと思うので、ネタが切れます。だから仕入れが肝心です。魚 を見ている主人は……ステキです(笑)。娘も「市場のパパが一番かっこいい!」と言ってます。
仕入れの話から始まった話は、仕入れに終わりました。
うちの店は「鮮度が命」「鮮度が売り」。女将さんはこの言葉を繰り返していました。
夏に、新鮮なすしを食べてみませんか?
萬年喜鮨
茨城県つくば市小野崎1360番地 TEL/ 029-851-3310
●つくば案内には、つくばのお店情報が満載。萬年喜鮨さ んのページは、女将さんが更新。仕入れた魚の写真が掲載されています。
●つくばもんTVでは 萬年喜鮨さんを紹介した動画が見られます。女将さんの感想は、「お父さんがカッコいい」
つくばもん事務局 所恵子