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ちあきの星空コラム

第237回 水星、金星を見る (2023/04/02)

水星を見るチャンス

太陽系の惑星は8個、存在しており、地球もそのひとつですが、天王星と海王星をのぞいて残りの水星、金星、火星、木星そして土星は、地球から肉眼で見ることができる明るさを持っています。
しかし、水星は太陽に一番近い位置を公転しているために地球からは明け方か夕方の空にしか見ることができません。さらに低空でしか見られないため、見る場所の地形や気象条件がそろわないとなかなか見ることができません。
明け方の東の空に太陽から最も離れた角度で見られるときを西方最大離角といい、夕方の西の空に太陽から最も離れた角度で見られるときを東方最大離角といいます。
4月には水星が夕方の西空で見やすくなる良い条件となり、東方最大離角を4月12日に迎えます。4月のはじめから20日頃まで見ることができますので、お天気の良い日を選んで、日没後の西の空に注目してみましょう。

2021年1月に見られた夕暮れ時の水星

2021年1月に見られた夕暮れ時の水星

4月12日に西の空で当方最大離角をむかえる水星の日没時の移動図。 水星の大きさ、形状は誇張して表現しています。

金星とプレアデス星団が接近

4月11日及びその前後の日に、おうし座のプレアデス星団(和名「すばる」)付近を金星が通過していきます。
金星は-4等級の明るさで輝いているので、みつけるのは容易ですが、プレアデス星団を探すのは星々の明るさ(個々の星は4等星くらい)からわかりにくく、双眼鏡や天体望遠鏡を使うと容易に見つけることができます。
双眼鏡は、倍率が6~8倍、口径が30~50ミリ程度のものが最適です。
美しい光景に期待したいものです。

2020年4月4日に金星とプレアデス星団が接近したときの写真

月と金星の姿を見て、写真にも撮ろう

4月23日には、月と金星の接近の様子が見られます。角度にして1.3度まで接近します。
月は月齢が3の細い月で、これに-4等級の明るい金星が近づくわけですから、晴れてさえいれば都会の空でも容易にみつけることができます。
西の方角を見て、夕空の中にその光景を見ることができたら、感動すること間違いありません。
美しい光景だと感じたら、撮影にもチャレンジしましょう!
月と金星の接近の様子を空があまり暗くならないうちからスマートフォンなどの携帯カメラで撮影にチャレンジしてみましょう。
もちろん、コンパクトデジタルカメラや一眼デジカメでも撮影が可能です。
夜空には夕焼けが残っていて、周囲が見渡せるほどの明るい時間帯で撮影するのが、いい絵作りにつながります。
作例のように、地上の景色とともに金星と月がうまくとらえられれば、説明しやすい写真が完成することと思われます。
また、天体望遠鏡を使って撮影する場合は、倍率を15倍程度の低倍率として、接眼レンズののぞき口の箇所にカメラのレンズを近づけて撮影しましょう。
うまく撮影できたら家族や友人にラインなどで画像を送信して自慢しましょう。

以前に見られた月と金星の接近した姿の写真

2015年10月9日に月と金星が接近したときに、天体望遠鏡を使って拡大撮影した写真

惑星情報

4月は金星、水星の観測好機です。
逆に、木星、土星は観測不適となっています。各惑星の情報をお知らせしますので、参考にしてください。

水星

4月12日に東方最大離角となり、水星を見るチャンスが到来します。夕方の西空を日没着後から探してみましょう。

金星

宵の明星として、夕方の西の空に-4.0~-4.2等級の明るさで輝いています。
4月23日には月と接近しますので、とても印象的な光景を見ることができるでしょう。

火星

引き続き、おうし座の中で赤く煌々と輝いています。明るさは、月初めは1.0等、月末には1.3等の明るさがあり、星座をかたちづくる恒星の1等星と同等に目立つ輝きをしています。

木星

4月12日に合となり、太陽の向こう側に位置するため、観測できません。
先月は夕方の西の空に見えましたが、5月になると明け方の東の空に見られるようになります。

土星

明け方の南東の低空に存在を確かめることができますが、低空のため、天体望遠級での観測には向きません。

4月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
10.4
11.4
12.4
13.4
14.4清明(二十四節気) 月が天の赤道を通過南半球へ
15.4満月
16.4
17.4
18.4
1019.4
1120.4金星とプレアデス星団が最接近
1221.4水星が東方最大離角  木星が合 月の赤緯が最南
1322.4下弦の月
1423.4
1524.4下弦の月
1625.4月の距離が最近
1726.4
1827.4月が天の赤道を通過北半球へ
1929.4
2029.4新月 穀雨(二十四節気) 新月 日本の南部で部分日食が見られる
210.9細い月と水星が接近
221.9細い月とプレアデス星団が接近
232.9細い月と金星が大接近
243.9
254.9月の赤緯が最北
265.9月と火星が接近
276.9
287.9上弦の月
298.9昭和の日
309.9
4月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

4月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。