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ちあきの星空コラム

第198回 今年1年の天文現象 (2019/12/27)

2020年は天文当たり年

あけましておめでとうございます。
いよいよ2020年がやってまいりました。今年は東京オリンピック、パラリンピックもありますし、話題に事欠かない1年となることでしょう。
天文界でもいろんな天文現象が見られますので、天文当たり年と見出しに書きましたが、とても楽しみな年といえます。
今年のおもな天文現象などをお知らせします。
詳細は、毎月更新しますこの星空コラムで詳細にお知らせします。
楽しみにしてお待ちください。

しぶんぎ座流星群 1月4日

新年早々の1月4日の夜にはしぶんぎ座流星群が見られます。しぶんぎ座という星座はありませんが、過去の名称の名残で実際にはりゅう座から流れるように見える流星群のことです。
極大の予報は、1月4日の17時頃となっていますので、4日の夕方暗くなったころから夜空を見上げて見ましょう。

写真はしし座流星群の記録写真です。参考までに!

水星が東方最大離角 2月10日

水星が2月10日に東方最大離角を迎えます・
水星は、地球よりも内側を公転する惑星ですから太陽からあまり離れた位置で見ることができません。太陽と最も離れて見られる時のことを「最大離角」といい、最大離角の日を挟んで、数日間が観測好機といえます。
夕方の西空に見られる時が「東方最大離角」前後のころで、夜明け前の東の空に見られる時が「西方最大離角」を迎えるころとなります。
東方最大離角の2月10日前後の日は、西南西の空に水星の0等級の輝きをみつけることができます。また、さらに高い位置には金星が見られ、その光度は-(マイナス)4等級ですから、水星はこの明るさにはかないません。
なお、水星が今年、東方最大離角を迎えるのは、ほかにも2回あり、6月4日と10月2日となります。もし、水星を2月10日前後に見ることができなかった場合は、これらのチャンスを狙いましょう。

以前、見られた水星の東方最大離角の頃の写真

明け方の空に惑星集合 3月18,19日

3月18、19日には明け方の南東の空に惑星が集まる様子を確認できます。
さらに細い月も加わってにぎやかな星空を眺めることができます。
今回、見られる天体は、細い月、土星、木星それに火星です。もちろん肉眼で確認できます。もし、見られたら写真にも撮ってみるといいでしょう。

以前に見られた明け方の東天に集まった惑星

スーパームーン 4月8日

月の公転軌道は楕円形で、公転軌道は地球に接近しているときと離れているときがあります。ですから地球から見た月の大きさは常に一定ではありません。
今年見られる満月のうち、地球との距離が最も近いのが、4月8日の満月で、天文の用語ではありませんが、世間ではこれを「スーパームーン」と呼んでいます。
晴れていたら、夕方東の空からスーパームーンが昇りくる様子や天高く昇って輝く様子などを観察してみましょう。うさぎのパターンも見られますよ!

満月

金星が最大光度 4月28日

金星は宵の明星として、西の夕空の中に一番星としてみつけることができますが、4月28日に最も明るく輝きます。
なんとその等級は、-4.7等です。月や太陽の明るさを除けば、空に見られる星の中で最も明るく見えます。特に天体望遠鏡や双眼鏡といった観測道具も必要がなく、肉眼で明るく輝く金星の様子をお楽しみください。もし、天体望遠鏡で見るチャンスがあるならば、写真のように月同様に欠けた姿を見ることができます。

金星の姿

みずがめ座η流星群が極大 5月6日

5月6日ころに見られるこの流星群は、春の流星群の中では最も多くの流星が見られるみずがめ座η流星群です。連休中でもありますし、見られるチャンス大ですから、ぜひ、注目して見てみましょう。観察の際、眺める星空は東の高い空を眺めて、流星が流れるのを待ちましょう。すると、中には流星が下から上に流れるように見える不思議な流星も見られます。ぜひ体験しましょう。

水星、金星、月の接近 5月21~24日

5月22日の日没直後に夜空が暗くなりはじめるころ、細い月と金星それに水星が接近している様子が西の空に見られます。
5月21日から24日頃まで肉眼で楽しむことができます。

部分日食 6月21日

6月21日には、台湾などでは金環日食が見られますが、日本でも部分日食として見ることができます。
日食メガネなどを利用して、目を保護して安全に欠け行く太陽を観察しましょう。

昨年1月6日に見られた部分日食

金星が東の空で最大光度 7月10日

今年4月28には宵の明星として最大光度となった金星が、今度は明け方の東の空に回って、明けの明星として輝き、7月10日には最大光度(-4.7等)で輝きます。早起きして金星の輝く姿を観察してみましょう。

明るく輝く明けの明星(中央の一番明るい星)

木星が衝・観測の好機開始 7月14日

7月14日には木星が衝を迎え、観測の好機を迎えます。
夏休み期間の7~8月頃はずっと観測しやすい条件になりますので、天体望遠鏡で観察してみましょう。天体望遠鏡を持っていない方も、夏休み期間中は各地で天体観望会などのイベントが催されますので、ぜひ参加して観察してみましょう。

夏の木星、土星に続いて10月には火星が観測のチャンスを迎えます
(写真は2018年6月4日に同一夜に撮影された3惑星:撮影 浦辺守)

土星が衝・観測の好機開始 7月21日

木星に続いて7月21日には土星が衝を迎え、観察の好機を迎えます。
木星、土星の位置は、南の空のいて座付近にあり、このふたつの惑星が付近で最も明るい天体なので、すぐにみつけることができます。
楽しみな夏休みがやってきますね。

みずがめ座δ流星群極大 7月30日

8月のペルセウス座流星群はとても有名ですが、みずがめ座δ流星群はあまり知られていません。しかし、夏休みに入って林間学校やキャンプなどで光害の少ない地域に出かけた時は7月30日だけでなく、その前後数日間は流星群の流星が見られますので、ぜひ注目してみましょう。

ペルセウス座流星群極大 8月12日

今年は8月12日の夜にペルセウス座流星群が極大を迎えます。
極大時刻は12日の22時頃となります。
今回は夜空に月明かりの影響もなく、まだ流星を見たことがない方にも見やすい流星群となります。流星観察のデビューにはもってこいのチャンスです。

伝統的七夕 8月25日

七夕まつりといえば現在、私たちが使っているこよみ(=新暦)の7月7日にお祝いしていますが、その昔の旧暦のころの7月7日は、秋の行事としてお祝いしていました。お天気のことを考え、また、旧暦だったころの月齢などを考慮すると、旧暦に沿った伝統的七夕の日もお祝いしたいものです。
今年の旧暦7月7日は現在のこよみの8月25日にあたります。
ぜひ、この日にも「伝統的七夕」としてイベントを行っていただきたいものです。

月、金星、プレセぺ星団の接近 9月14日

春の星座のかに座の中に肉眼でも見られる明るい星団、プレセぺ星団がありますが、その星団に月と金星が接近して見られます。
夜が明ける前の未明に起きての観察となりますから大変ですが、すてきな光景を見ることができますので、ぜひ早起きして観察しましょう。
肉眼でも楽しめますが、双眼鏡があるととてもはっきりと確認できることでしょう。

中秋の名月 10月1日

今年は10月1日に中秋の名月が見られます。
旧暦でいうと8月15日に相当する日の月のことを中秋の名月と呼びます。
今年は、満月は10月2日となりますが、ほぼ満月のこの日にススキやお団子などをお供えして月の出をお迎えしましょう。
月の位置は、夕刻に東の空から顔を出し、だんだんと空高く昇ってまいります。

中秋の名月が東の空から昇る様子

お供えのススキと団子

火星が準大接近 10月6日

一昨年の7月31日に大接近した火星は、今回は準大接近を迎えます。もっとも地球に接近するのは10月6日ですが、その前後1か月以上にわたって大きく、また明るく見えますので、ぜひ観察してみましょう。
位置は、秋の星座のうお座の中にあります。

オリオン座流星群が極大 10月23日

ハレー彗星が起源(母天体)といわれているオリオン座流星群は、今年は10月22日頃から24日頃まで見られます。夜の前半は月明かりがあるので、見にくいのですが、月が西の空に沈んだ以降の深夜から明け方にかけて観測するといいでしょう。
おおよそ1時間に10個程度流れるといわれていますので、ふたご座流星群などと比較するとあまり多いともいえませんが、流星を見たことがない人もこうした機会に天を見上げ、ぜひ、流れ星体験をしてみましょう。

水星が西方最大離角 11月11日

11月11に水星が明け方の東南等の空で見られます。観察できるのは前後10日間くらい可能で、東南東の空に昇ってくる様子が見られますのでぜひチャレンジして、みつけましょう。
水星は今年一年間では、ほかに3月24日と7月23日にも西方最大離角を迎えます。

ふたご座流星群が極大 12月14日

今年はほぼ新月に近い条件での観測となります。とても良い条件ですから、寒さ対策を行って、ぜひ流星の観測にチャレンジしましょう。
13日から14日の明け方にかけての予想では、1時間に60~80個程度見られるかもしれません。ただし、地理条件的に光害の多いところでは見られる数が少なくなります。

木星と土星の大接近 12月21、22日

惑星は、地球から見ていると、星座の中を行ったり来たりしているように位置が変化していきますが、12月21、22日には木星と土星の見かけ上の位置が大接近している様子が見られます。
とても接近しているので、天文好きな方はもとより、あまり星を見上げない方々もこの大接近には驚かされることでしょう。必見といえます。

以前に木星と金星が接近した時の様子

はやぶさ2の帰還 12月

はやぶさ2は、探査した小惑星リュウグウから昨年末に離れて地球に向かって帰還をめざしています。小惑星の物質を採取したカプセルは、はやぶさ2から地球に放出される予定で、その時期は今年の12月を予定しています。はやぶさのときと同じく、オーストラリアのウーメラ砂漠にカプセルは帰還する予定です。楽しみですね。

1月の惑星

今月の惑星の見え具合をそれぞれ解説します。
今月の見どころは夕空に輝く金星です。
夕方の南西の空に煌々と輝いています。しかし、時間が経過するとともに西の空に沈んでしまいますので、日の入りの時刻を過ぎたら遅くならないうちに探すといいでしょう。晴れていたらぜひ観察しましょう。

水星

1月11日に外合といって、地球から見て太陽の向こう側で太陽と重なる方向になります。つまり、一番観測に向かない状況となりますので残念ながら観察できません。

金星

宵の明星として、夕方の南西の空で明るく輝いています。もちろん一番星として夕暮れの中に早々とみつけることができます。
明るさは約-(マイナス)4等級からさらに月末には-4.1等級となります。

火星

今年の火星は10月6日に最接近となり、その前後は天体望遠鏡で見ると大きく見ることができます。今月は明け方の空の低空に肉眼で他の星と同様に見ることができます。特徴は、ほかの星よりも赤っぽい色をしていることで、探しやすいことでしょう。
明るさは1.6等級程度で、さそり座付近にあります。

木星

昨年12月に合となったばかりで太陽に近い方向にあり、観察はできません。

土星

1月14日に合となり、木星同様に観察はできません。

1月の星空

1月の星空は、冬の星座で埋め尽くされます。
南の空を見ると、オリオン座を中心におうし座、おおいぬ座、こいぬ座、ふたご座、ぎょしゃ座など冬の代表的な星座が見られます。
ほかにも、うさぎ座やいっかくじゅう座などのめだたない星座もありますが1等星を伴う明るい星のある星座を先にみつけ、それからめだたない星座も星座早見や星図をたよりにさがしていきましょう。
1等星を天頂付近から右回りに見ていくと、最初にみつかるのが天頂付近に見られる、ぎょしゃ座のカペラです。そこから右回りに1等星を見ていくと、おうし座のアルデバランがみつかります。続いてオリオン座のリゲルがあり、さらに南の空におおいぬ座のシリウス。続いて、こいぬ座のプロキオンさらにふたご座のカストルがみつかります。カストルからカペラに戻ることとなりますが、これらの1等星を線で結んでみると大きな六角形ができることがわかります。これを冬の大六角形といいます。
ただし、冬の星座の中にはもうひとつ1等星があります。それはオリオン座のベテルギウスです。ベテルギウスは昨年の冬はとても明るく輝いていましたが、今年は少し暗くなってきたようです。このことでこの星が明るさを変える変光星であることがわかります。

1月の天文情報

曜日月齢天文現象など
5.9元日
6.9
7.9上弦の月
8.9しぶんぎ座流星群が極大
9.9月の距離が最遠
10.9小寒(二十四節気)
11.9
12.9
13.9
1014.9月の赤緯が最北
1115.9満月(半影月食)金星と土星が最接近
1216.9
1317.9成人の日
1418.9月の距離が最近
1519.9
1620.9月が天の赤道を通過(南半球へ)
1721.9下弦の月
1822.9
1923.9
2024.9大寒(二十四節気)
2125.9月と火星が最接近
2226.9
2327.9月の赤緯が最南
2428.9月と土星が最接近
250.2新月
261.2月と土星が最接近
27 2.2
28 3.2細い月と金星が接近
294.2
305.2月の距離が最遠 月が天の赤道を通過(北半球へ)
31 6.2

月齢は正午の値です

1月の星図

南の星空

1月の南の星空(背景黒)

1月の南の星空(背景白)

北の星空

1月の北の星空(背景黒)

1月の北の星空(背景白)

1月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。