ちあきの星空コラム
第182回 涼しい夜は星見を楽しむ (2018/09/03)
9月の空は惑星と秋の星空
暑かった夏から9月は涼しくなり、夜空には秋の星座が見られるようになります。
西の空には夏の名残の「夏の大三角」などがまだ見られますが、東の空から秋の星座が夜空をかざるようになってきます。
夏から見えている惑星(金星、木星、土星そして火星)は9月の空にも輝いて見られますので、引き続き注目に値します。
7月31日に大接近した火星は今でも赤々と輝き、天体望遠鏡で見ると円盤状の姿を見ることができます。
やがて見納めとなり、見えなくなる惑星たちの姿を9月のうちにたっぷりと味わいましょう。
10月に入ると徐々に金星と木星は見えなくなり、午後8時を過ぎても見られるのは土星と火星のみです。さらに11月に入ると土星も西の空の低空でしか見られなくなってしまい、火星のみが引き続き煌々と輝いて見られます。ただし、その火星も11月に入ると天体望遠鏡で見てもあまり大きくは見えなくなって、ちょっとさびしい気がするようになることでしょう。
秋の星座は、南の空に1等星のフォーマルハウト(みなみのうお座)が見られ、ペガスス座やアンドロメダ座、カシオペヤ座などが見られるようになります。
9月には秋分(9月23日)も迎え、夜が長くなってまいりますので、星空を眺める時間も多く取れることでしょう。
西の空に金星が輝く
西の空に明るく輝いている金星が、9月21日には最大光度となります。
金星は満ち欠けしていますが、9月にはだんだんと三日月のように細い姿になって、10月早々にはもう見られなくなってしまいます。
9月を見修めと思って、眺めましょう。
9月の星座
9月の星空は、午後7時頃の暗くなったばかりの時刻には夏の大三角をはじめ夏の星座が見られますが、午後9時を過ぎてくるころには、夏の星座は西の空に追いやられ、東の空を中心に秋の星座で埋め尽くされてしまいます。
南の空のやぎ座、みなみのうお座やみずがめ座、北の空にはケフェウス座やカシオペヤ座などが見られます。天頂付近にはぺガスス座、うお座、アンドロメダ座が見られるようになり、澄んだ秋の星空で星座さがしを楽しみましょう。
9月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 土 | 20.7 | 二百十日 |
2 | 日 | 21.7 | ジャコビニ・チンナー彗星がカペラに接近 |
3 | 月 | 22.7 | 下弦の月 |
4 | 火 | 23.7 | |
5 | 水 | 24.7 | 月の赤緯が最北 |
6 | 木 | 25.7 | |
7 | 金 | 26.7 | |
8 | 土 | 27.7 | 白露(二十四節気) 月の距離が最近 |
9 | 日 | 28.7 | |
10 | 月 | 0.4 | 新月 ジャコビニ・チンナー彗星が地球に最接近 |
11 | 火 | 1.4 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
12 | 水 | 2.4 | |
13 | 木 | 3.4 | |
14 | 金 | 4.4 | 月と木星が接近 |
15 | 土 | 5.4 | |
16 | 日 | 6.4 | |
17 | 月 | 7.4 | 敬老の日 上弦の月 月と土星が接近 |
18 | 火 | 8.4 | 月の赤緯が最南 |
19 | 水 | 9.4 | |
20 | 木 | 10.4 | 月と火星が接近 月の距離が最遠 |
21 | 金 | 11.4 | 金星が最大光度 |
22 | 土 | 12.4 | |
23 | 日 | 13.4 | 秋分の日 秋分(二十四節気) |
24 | 月 | 14.4 | 振替休日 中秋の名月 |
25 | 火 | 15.4 | 満月 |
26 | 水 | 16.4 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) 土星が東矩 |
27 | 木 | 17.4 | |
28 | 金 | 18.4 | |
29 | 土 | 19.4 | |
30 | 日 | 20.4 |
9月の星図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。