ちあきの星空コラム
第174回 今年も星空を楽しもう (2017/12/28)
今年1年の主な天文現象
2018年が始まりました。今年も天文現象や星空の面白さをお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
今年1年で特に注目すべき天文現象などを最初にお知らせしましょう。
今年のスーパームーンは、1月早々の1月2日です。1年間の中で一番地球に接近する月、すなわち、地球から見て大きく見える満月の日が1月2日なのです。大きく見える月と小さく見える月の比較は、先月の星空コラムを見ると、説明写真がありますので、大きさの違いがわかると思います。
次に1月31日には皆既月食が見られます。月が欠けている様子がはっきりわかるのは、本影月食が始まる21時ころからとなります。皆既食になるのは21時51分頃から23時8分頃まで。その後、本影月食が終わるのは翌日の0時過ぎになります。
2月に入りますと、2月2日にしし座の1等星レグルスが月に隠される星食が見られます。早朝、早起きをして双眼鏡などを使って観察するといいでしょう。
3月は、3月2日に1回目の満月、そして1月の時と同じく2回目の満月が3月31日に見られます。3月31日の満月はひと月の中に2度見られる満月で、西洋ではブルームーンと呼ばれるようです。見ると幸せになるとの言い伝えもあります。次回のブルームーンは2020年の10月まで待たなければなりません。
4月は特にこれといったものは見られませんが、春の星座が夜空を埋め尽くす季節となりますから、おおぐま座(北斗七星をふくむ)をはじめ、春の星座を鑑賞しましょう。
5月になりますと、木星の観測好機となってまいります。天体望遠鏡を使って、木星の観測が楽しみな時期です。
6月には土星が観測好機となります。もちろん木星も観測好機が継続していますので、晴れればこうした惑星に天体望遠鏡を向けましょう。
7月28日には、今年2回目の皆既月食が見られます。といっても明け方に見られる現象で、皆既食を迎えると月は西の空に沈んでしまい、現象の後半は見ることができません。
そして、7月31日は、火星大接近の日です。日ごろは小さくしか見えない火星の姿を天体望遠鏡で大きく見られるチャンスです。この現象は7月31日だけに大きく見えるのではなく、前後1か月くらいは比較的大きく見えますので、天体望遠鏡で連続観測が可能といえます。
8月12日から13日にかけては、夏の恒例であるペルセウス座流星群が極大となり、多くの流れ星を見ることができます。月明かりの影響もない観測の好機といえますから、ぜひ観察しましょう。
9月には、宵の明星となった金星が-4.6等となり、とても明るくなります。夕方の西の空に注目しましょう。
10月には、10月8日頃にジャコビニ流星群(正式名は10月りゅう座流星群)が極大を迎え、10月22日にはオリオン座流星群が極大を迎えます。秋の澄んだ空気の中、流星観察にチャレンジしてみましょう。
11月は18日頃にしし座流星群が極大を迎えますが、どの程度流れるか楽しみです。また、同じく11月にはおうし座流星群も見られますので、ぜひ、観察を楽しみましょう。
12月には、毎年コンスタントに多くの流星が見られるふたご座流星群が12月14日に極大となります。月が西の星空に沈んだ23時頃からが最良の条件で観察できますので、ぜひ、観察してみましょう。
また、10月までは宵の明星として輝いていた金星は、地球と太陽の間を通って逆方向に!すなわち、東の空に明けの明星として見られるようになります。
12月2日頃には最大光度となり、-4.9等の明るさで輝きます。天体望遠鏡で見ると、三日月のような欠けた姿を見ることができます。
1月31日の皆既月食を楽しむ
1月31日20時頃翌2月1日までの長時間にわたって観察できる興味深い現象です。
地球の影に月が入り、地球からは満月が暗くなるように見える現象です。皆既月食中にも真っ暗とならずに、写真のように赤みがかった暗い月として見られます。
肉眼でも楽しめますし、双眼鏡や天体望遠鏡でももちろん詳細に観察できますので、ぜひ楽しみにして月食の進行具合を観察しましょう。
明け方の東天に注目!
1月7日の明け方の空に接近しあった火星と木星の姿が見られます。天体望遠鏡などは不要。肉眼で見られます。さらに、1月12日から15日にかけては、細い月がその付近に輝いて見られますので、1等星のおとめ座スピカやさそり座アンタレスなどと共に観察することができます。
作例は、昨年(2017年)12月16日の明け方に火星、木星と細い月の輝きをとらえた写真です。
1月4日未明に見られるしぶんぎ座流星群
1月4日の未明に、しぶんぎ座流星群が見られます。しぶんぎ座流星群は三大流星群(ペルセウス座流星群、ふたご座流星群、しぶんぎ座流星群)のひとつとして知られていますが、そのわりにはお正月気分の最中の天文現象で観測者の数は多くありません。
今年は、月齢的には満月の直後ですから月明かりの影響を受け、比較的明るい流星を中心に見ることになります。
ところで、しぶんぎ座という星座は今はなく、りゅう座の一部分となっています。
放射点は、北の方角にあるりゅう座と、うしかい座の境界付近にあり、その付近から流れているいるように見られます。
四方八方に流星は飛びますが、月明かりが眼に入らぬような姿勢で観測するようにしましょう。
1月の星空
1月になると、冬の星座で夜空が埋め尽くされてまいります。
冬の星座の中でもその代表的な星座がオリオン座。あらかじめオリオン座とそのほかの星座の位置関係を星座早見盤などで確認し、オリオン座を最初にみつけてその位置からそれ以外の各星座を探しましょう。
1等星以上の明るい星で構成する、冬の大三角や冬の大六角形(ダイヤモンド)を実際の星空の中でみつけましょう。大六角形をつくる1等星は、オリオン座のリゲルから右回りに、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラそれにおうし座のアルデバランですが、これらがみつかるということは、星座も6個みつけられるということになります。
冬の星座は、明るい星が多く四季を通じてもっとも星や星座をみつけやすいといえます。
1月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 日 | 13.9 | 元旦 |
2 | 月 | 14.9 | 満月(スーパームーン) 月の赤緯が最北 水星が西方最大離角 |
3 | 火 | 15.9 | 地球が近日点を通過(太陽の視直径が最も大きく見える) |
4 | 水 | 16.9 | しぶんぎ座流星群が極大 |
5 | 木 | 17.9 | 小寒(二十四節気) |
6 | 金 | 18.9 | |
7 | 土 | 19.9 | 火星と木星が最接近 |
8 | 日 | 20.9 | 成人の日 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
9 | 月 | 21.9 | 下弦の月 |
10 | 火 | 22.9 | |
11 | 水 | 23.9 | 月が火星や木星に接近 |
12 | 木 | 24.9 | |
13 | 金 | 25.9 | 水星と土星が最接近 |
14 | 土 | 26.9 | |
15 | 日 | 27.9 | 月の距離が最遠 |
16 | 火 | 28.9 | 月の赤緯が最南 |
17 | 水 | 0.0 | 新月 |
18 | 木 | 1.0 | |
19 | 金 | 2.0 | |
20 | 土 | 3.0 | 大寒(二十四節気) |
21 | 日 | 4.0 | |
22 | 月 | 5.0 | |
23 | 火 | 6.0 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
24 | 水 | 7.0 | |
25 | 木 | 8.0 | 上弦の月 |
26 | 金 | 9.0 | |
27 | 土 | 10.0 | アルデバランの食 |
28 | 日 | 11.0 | |
29 | 月 | 12.0 | 月の赤緯が最北 |
30 | 火 | 13.0 | 月の距離が最近 |
31 | 水 | 14.0 | 満月 皆既月食 |
1月の星図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。