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ちあきの星空コラム

第165回 春の星座と惑星 (2017/04/03)

春の星座を覚えよう

4月の星空は、冬の星座から春の星座に入れ替わってきます。それと同時に昼間の時間が長くなって、午後7時を過ぎないと星座の位置がはっきりしないほど、薄明がのびてきます。
午後7時半ころの夜空を仰ぎ見ると、西の空にはまだ冬の星座が見られます。冬の代表格のオリオン座やふたご座などが名残惜しく輝いていますが、時間の経過とともに西の空に沈んでしまいます。
末尾に午後9時(21時)の星図を掲載していますが、それを見ると春の星座が南の空を中心に見られることが確認できます。
春の星座をご案内しますと、天頂(空の真上)のやや南側にあるしし座を中心にその西側にかに座、東におとめ座、南にうみへび座そして北の空の高い位置にはおおぐま座が輝いています。
今年は-(マイナス)2等級に輝く木星がおとめ座スピカのすぐ近くにあり、他のどの星よりも明るく見えますからすぐにみつけることができますが、木星の力強い輝きとスピカの真珠のような白い輝きの対比はとても印象的に見えます。
このほか、おおぐま座の中にある北斗七星の柄の部分(おおぐまのしっぽの部分)をその曲がり具合を考慮に入れて空をたどっていくと、うしかい座の1等星アルクトゥールスを見つけ出すことができ、さらにその曲線を延ばしていくとおとめ座のスピカにたどり着きます。この曲線のことを「春の大曲線」と呼んでいます。下図を参照し、じっさいの空でぜひたしかめましょう。

春の大曲線をたどって北斗七星からアルクトゥールスとスピカをみつけよう

春の大曲線をたどって北斗七星からアルクトゥールスとスピカをみつけよう

木星が明るい
木星の姿、写真上段は、木星とガリレオ衛星。下段 は衛星の影が見られる木星本体。縞模様も見られる (撮影:浦辺守)

木星の姿、写真上段は、木星とガリレオ衛星。下段
は衛星の影が見られる木星本体。縞模様も見られる
(撮影:浦辺守)

おとめ座の中に位置する木星は、この時期、もっとも明るく輝いて見られる星ですから、誰でも簡単にみつけることができます。
天体望遠鏡で見ると、木星の周囲には衛星が公転している様子を確認できますし、本体には縞模様が確認できます。
小型の天体望遠鏡でも十分に観察できますから、おうちに天体望遠鏡があるようでしたら、木星を観察してみましょう。
また、近くで天体観望会があるようでしたら、そうした機会に本格的な天体望遠鏡による木星の姿を確認しましょう。

金星は明けの明星へ

3月中旬まで、宵の明星として親しまれ、夕空に輝く姿が印象的だった金星は、3月23日に太陽と地球の間に位置する内合となりましたが、それ以降は、明けの明星として夜明け前の東の空に輝いて見られるようになりました。
夜が明ける少し前に早起きして明るく輝く金星の姿を確認しましょう。
明けの明星(あけのみょうじょう)となった金星は、明るく輝き、4月30日には最大光輝-(マイナス)4.5等級の他の星に比べて圧倒的な明るさをもって輝きます。
ぜひ、明ける前の金星の姿を見ましょう。また、コンパクトデジタルカメラでも撮影できますので地上の景色とともに金星の姿を写真にとらえましょう。

3月17日の夕空に見られた金星、タワーの右下に輝いています(福島県いわき市にて撮影)

3月17日の夕空に見られた金星、タワーの右下に輝いています (福島県いわき市にて撮影)

4月の天文情報
曜日月齢天文現象など
4.0アルデバランの食 水星が東方最大離角
5.0
6.0月の赤緯が最北
7.0清明(二十四節気)上弦の月
8.0
9.0
10.0
11.0
12.0
1013.0月と木星が接近 月が赤道通過(南半球へ)
1114.0満月
1215.0
1316.0
1417.0
1518.0月の距離が最遠
1619.0
1720.0月と土星が接近 月の赤緯が最南
1821.0
1922.0下弦の月
2023.0穀雨(二十四節気)
2124.0
2225.0
2326.0
2427.0月が天の赤道を通過(北半球へ)
2528.0
2629.0新月
270.6
281.6月の距離が最近
292.6 昭和の日
303.6金星が最大光輝 月の赤緯が最北
4月の星図
4月の星空(背景黒)

4月の星空(背景黒)

4月の星空(背景白)

4月の星空(背景白)

4月の中旬、午後9時ころの星空です。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座探しに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。