ちあきの星空コラム
第163回 金星が最大輝度に! (2017/01/31)
金星が明るく輝く
2月は、夕方の西空に宵の明星(よいのみょうじょう)と呼ばれる金星がとりわけ明るく輝いて見られます。
「あの明るい星は何ですか?」と問われることはしばしばあります、そのほかに「UFOが見えている」といった勘違いの発言も多く聞きます。
さて、その金星は、2月17日には最大光度4.6等星となり、空が明るいうちから見え始めますし、もちろん全天でもっとも明るく輝いていますから、どなたでもすでに見ていることと思います。
その金星も今月見ておかないと、だんだんと高度が低くなり、3月23日には内合といって、地球と太陽の間に入って(太陽の方角にあるので)見えなくなります。
次に見られるようになるのは明けの明星(あけのみょうじょう)となって、4月に入ると夜明け前の東の空に見えるようになります。
明け方は、早起きが苦手な人はちょっと大変ですから、夕方に宵の明星として見える2月のうちにしっかりと見ておきましょう。
特に、2月1日には、金星と月と火星を一度に見ることができますので、この美しい光景を見逃さないようにしましょう。次に金星と月と火星を一緒に見ることができるのは、3月1日となります。いずれもチャンスを逃さないように見たいものですね。
惑星はどこにある?
それぞれの惑星が2月にはどの位置に見られるのでしょうか?
☆金星
上述のように最も明るい一番星として夕方から西空に見えていますが、月初めは高かった光度も月末にはだんだん低空に見られるようになり、午後8時過ぎには西の空に沈みます。
☆火星
金星の明るさには負けますがそれでも1等星の明るさです。夕方、南西の空に見えますが、午後8時半頃には金星を追いかけるように西の空に沈みます。
☆木星
金星の次に明るく見え、-2等星として、2月の初めは午後11時頃、月末には午後9時頃に東の空から昇ってきます。夜の12時頃になれば高度も高くなり、だれでもみつけられるようになるでしょう。おとめ座の1等星スピカの近くで輝いているので、その配置からとても印象的に見えます。
☆土星
明け方の南東の空に昇ってきます。明るさは0等星です。もし、見るなら早起きが必要ですね。
☆水星
明るさは0等星ですが、2月の上旬に日の出直前の東南等の低空で見ることができます。ただし、すぐ夜明けの明るさの中で、見えなくなりますので、見るのはちょっと難しいかも知れません。
おとめ座γ星(ポリマ)が月に隠される
2月14日(バレンタインデー)の夜、23時30分頃におとめ座γ星が月に隠される現象が見られます。
月は日々、星座の中を移動していきますが、星を月の後ろに隠すこともしばしば見られます。
2017年1月10日にはおうし座の1等星アルデバランやヒヤデス星団の星々を月が隠す現象(星食といいます)が見られましたが、今回はおとめ座の星が隠されます。
天体望遠鏡か双眼鏡で観察できますので、バレンタインデーの夜に神秘的な宇宙の現象を観察してみましょう。
2月の星空
冬の星座のオンパレードとなる2月の夜空は空気も澄んでいることが多く、多くの星がきらきらと瞬いてとてもロマンチックに感じられることでしょう。
南の空に三ツ星を配したオリオン座を中心に、周囲をぐるりと見渡して、星図をたよりに各星座や1等星の位置と名前を確認しましょう。
2月は11日が満月なので、その前後は月明かりに影響して暗い星は見えにくくなりますが、月初めと後半は満天の星空を仰ぎ見ることができることでしょう。
2月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 水 | 4.1 | 月と火星が接近 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
2 | 木 | 5.1 | |
3 | 金 | 6.1 | |
4 | 土 | 7.1 | 立春(二十四節気)上弦の月 |
5 | 日 | 8.1 | |
6 | 月 | 9.1 | 月の距離が最近 おうし座γ星の食 |
7 | 火 | 10.1 | |
8 | 水 | 11.1 | 月の赤緯が最北 |
9 | 木 | 12.1 | |
10 | 金 | 13.1 | |
11 | 土 | 14.1 | 建国記念の日 満月 |
12 | 日 | 15.1 | |
13 | 月 | 16.1 | |
14 | 火 | 17.1 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) おとめ座γ星の食 |
15 | 水 | 18,1 | 月と木星が接近 |
16 | 木 | 19.1 | |
17 | 金 | 20.1 | 金星が最大光度(-4.6等) |
18 | 土 | 21.1 | 雨水(二十四節気) |
19 | 日 | 22.1 | 下弦の月 月の距離が最遠 |
20 | 月 | 23.1 | |
21 | 火 | 24.1 | |
22 | 水 | 25.1 | 月の赤緯が最南 |
23 | 木 | 26.1 | |
24 | 金 | 27.1 | |
25 | 土 | 28.1 | くじら座のミラ(変光星)が極大 |
26 | 日 | 29.1 | 新月 |
27 | 月 | 0.5 | |
28 | 火 | 1.5 |
2月の星図
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。