ちあきの星空コラム
第157回 天体観望会で土星を見る (2016/08/02)
今月は土星が見ごろ
春の夜空では木星、火星そして土星を楽しんできましたが、梅雨が明けて8月に入ると土星を観望対象とする観望会となります。
というのは、木星は夕方から西の空にあって低空に見られますが、暗くなる頃には地平線下に沈んでしまいます。
火星はさそり座の中にありますが、地球に最接近した5月31日からずいぶん日にちがたち、遠ざかっていきつつありますので、肉眼ではまだ明るく見られますが、天体望遠鏡で見てもさほど大きくは見られなくなっています。
その点、土星は8月こそが見ごろといえ、さそり座の中に火星とともにありますが、天体望遠鏡で見るその姿は、おなじみの環をもった姿ですから天体観望会でも一番人気となります。
土星の姿は、神秘的で宇宙の姿にふれたような感動を覚えます。天体観望会では見たほとんどの方たちから歓声があがります。
夏休みには各地で天体観望会が行われますので、ぜひ機会をみつけて土星を見せてもらいましょう。
各地で天体観望会
ところで、私は地域活動の中で天体観望会を開いていますが、今年の8月に私の関係する天体観望会は、8月12日(金)に茨城県龍ケ崎市の市民活動センターで行われ、また、8月13日(土)には牛久市の牛久自然観察の森で行われます。
いずれも予約制となっていますので、広報やインターネットで調べて予約の上、ご参加ください。
そのほか、8月5日~7日に行われる原村星まつり(長野県原村八ヶ岳自然文化園で開催)と8月26日~28日に行われる胎内星まつり(新潟県胎内市胎内平で開催)に遊びに行く予定をしています。
星まつりはだれでも予約なしで無料で参加できます。こうした会場では多くの天体望遠鏡が夜空にレンズを向けて天体観望会を行いますので、さまざまな天体を見せてもらうことができます。
夏休みを利用して、天体観望会や星まつりにぜひ参加しましょう!
8月の星空
8月の星空は土星と火星が居座っているさそり座が見ごたえがあります。
特に8月24日(水)には、火星がさそり座の1等星アンタレスに接近して見られますし、土星、火星そしてアンタレスがほぼ縦に一直線に並びますので、観察すると同時に、写真撮影にもチャレンジするといいでしょう。
さそり座は南の空に見られますが、そこから天頂にかけてまち明りが少なく星が良く見える環境では、天の川を見ることができます。
天頂付近の天の川の中にははくちょう座がありますが、その付近で天の川をはさんでこと座のベガ(おりひめ星)とわし座のアルタイル(ひこ星)を見ることができます。
もし、天の川が見えない星空環境でもベガとアルタイルそれにはくちょう座の1等星デネブを結ぶとできる夏の大三角は見えますので、みつけて三角形で結んでみましょう。
星図を参照しながらそのほかの夏の星座もみつけてみましょう。
8月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 月 | 27.7 | |
2 | 火 | 28.7 | 新月 |
3 | 水 | 0.3 | |
4 | 木 | 1.3 | |
5 | 金 | 2.3 | |
6 | 土 | 3,3 | 細い月と木星が接近 |
7 | 日 | 4.3 | 立秋(二十四節気) 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
8 | 月 | 5.3 | |
9 | 火 | 6.3 | 伝統的七夕 |
10 | 水 | 7.3 | 月の距離が最遠 |
11 | 木 | 8.3 | 上弦の月 |
12 | 金 | 9.3 | 月と土星が接近 ペルセウス座流星群が極大 |
13 | 土 | 10.3 | |
14 | 日 | 11.3 | 月の赤緯が最南 |
15 | 月 | 12.3 | |
16 | 火 | 13.3 | |
17 | 水 | 14.3 | 水星が東方最大離隔 |
18 | 木 | 15.3 | 満月 |
19 | 金 | 16.3 | |
20 | 土 | 17.3 | |
21 | 日 | 18.3 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
22 | 月 | 19.3 | 月の距離が最近 |
23 | 火 | 20.3 | 処暑(二十四節気) |
24 | 水 | 21.3 | 火星とアンタレスが最接近 |
25 | 木 | 22.3 | 下弦の月 |
26 | 金 | 23.3 | 月とアルデバランが最接近 |
27 | 土 | 24.3 | 月の赤緯が最北 |
28 | 日 | 25.3 | 金星と木星が最接近 |
29 | 月 | 26.3 | |
30 | 火 | 27.3 | |
31 | 水 | 28.3 |
8月の星図
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。