ちあきの星空コラム
第151回 冬の星座 (2016/02/02)
冬の星座
つくばや関東地方の平野部の冬は、西高東低の冬型の気圧配置では晴天となることが多く、澄んだ空気の中で、キリリと引き締まった夜空の星が望めます。
特に、マイナス1.44等星として全天の恒星で最も明るく輝くおおいぬ座のシリウスは聡明な感じを受けます。煌々と輝くその様を見ていると、大気のゆらぎによってキラキラと輝く様子がとても印象的です。
もちろん、冬の星座にはほかにも1等星が7個もあり、他の季節と比較すると冬の星座の方が圧倒的に1等星が多く、空全体の星のきらめきもにぎやかです。
そうした理由から、都会地にあっても冬の星空は多くの星が見え、スターウオッチングが楽しめます。
暖かい部屋から出て、寒いところで星空を眺めるのはおっくうかもしれませんがベランダや庭からでも星は眺めることができますので、ぜひ星図を片手に星空を眺め、冬の星座をさがしてみましょう。
明け方の空は相変わらずにぎやか
先月に引き続いて、今月も明け方の空が惑星でにぎやかに見えます。先月撮影した星空をご覧ください。
アルデバランの食が見られる
2月16日(火)の夕方におうし座の1等星アルデバランが月に隠されてしまう現象があります。関東地方では15時43分頃月に隠される「潜入」という現象が見られ、月からの「出現」は、16時58分頃となります。
まだ、明るい空ですが、晴れていれば上弦を過ぎた半月状の月が明るいうちから青空の中に見えているはずです。
ただし、星が月に隠される現象として見るためには明るい空の中で、恒星のアルデバラン(0.9等星)も見えなければ観測できませんから、天体望遠鏡が必要です。
快晴なら明快に見えますが、うす雲などがあると見えないこともあります。
今年は、このアルデバラン食を皮切りにあと4回見られるチャンスがやってきます。その都度、このコラムでお知らせしますので、ぜひチャンスを生かしてご確認ください。
2月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 月 | 22.1 | 下弦の月 |
2 | 火 | 23.1 | 月と火星が接近 |
3 | 水 | 24.1 | 節分 |
4 | 木 | 25.1 | 立春(二十四節気) 月と土星が接近 |
5 | 金 | 26.1 | 月の赤緯が最南 |
6 | 土 | 27.1 | 細い月と金星が接近 |
7 | 日 | 28.1 | 水星が西方最大離隔 |
8 | 月 | 29.1 | 新月 |
9 | 火 | 0.5 | |
10 | 水 | 1.5 | |
11 | 木 | 2.5 | 建国記念の日 月の距離が最近 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
12 | 金 | 3.5 | |
13 | 土 | 4.5 | |
14 | 日 | 5.5 | |
15 | 月 | 6.5 | 上弦の月 月面にX形の模様が見える |
16 | 火 | 7.5 | アルデバランの食 |
17 | 水 | 8.5 | |
18 | 木 | 9.5 | 月の赤緯が最北 |
19 | 金 | 10.5 | 雨水(二十四節気) |
20 | 土 | 11.5 | |
21 | 日 | 12.5 | |
22 | 月 | 13.5 | |
23 | 火 | 14.5 | 満月 月と木星が接近 |
24 | 水 | 15.5 | 月と木星が最接近 |
25 | 木 | 16.5 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
26 | 金 | 17.5 | |
27 | 土 | 18.5 | 月の距離が最遠 |
28 | 日 | 19.5 | |
29 | 月 | 20.5 |
2月の星空
1月に続いて2月も寒い季節ですが、太平洋側では寒い日は澄んだ星空が望めることが多く、ぜひ星空を眺めましょう。
オリオン座を中心に冬の大三角をみつけたり、冬の大六角形をさがしたりといった楽しみのほか、おうし座にあるすばる(M45)やオリオン大星雲(M42)を双眼鏡で眺めてみるのも迫力があって楽しいものです。
寒さに負けず、冬の星座を満喫しましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。