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ちあきの星空コラム

第87回 木星を見る (2010/10/01)

木星が見頃です

木星の姿

木星の姿:天体望遠鏡にコンパクトデジタルカメラを手持ちでセットしてパチリと写したものです。縞模様のほかに大赤斑も左上に写っているのがわかります

9月に夕方の西空に輝いていた宵の明星(金星)が見えなくなり、代わって東南の空に明るい星が輝いていることに気づいた読者も多いことと思います。これが木星です。

明るく輝く木星は、-(マイナス)2.9等星で、当然のことながら一番星として輝いています。

木星を肉眼でよく見ると、他の星々がきらきらと輝いている(またたいている)のに対し、木星だけがまたたかず、連続した光を放っているように見えます。

なんだか不思議な感じを受けるこの光り方のちがいですが、じっさいに星空を観察してみるとたしかにその実感がわかります。星のまたたきは地球上層大気の流れによるものですが、木星は恒星に比べたら地球に近い位置にありますので、大気のゆらぎ幅よりも面積があり、またたかないように見えます。実際の星空でたしかめてみましょう。

肉眼だけでも見る価値のある木星といえますが、双眼鏡でも観察してみましょう。

双眼鏡で木星を眺めると、本体が光の点ではなく、面を持った丸い物体であるということに気づきますが、さらに本体の周囲にはガリレオ・ガリレイが発見した衛星(4個あります)が見えるのです。この衛星は毎日観測すると木星とのそれぞれの衛星の位置関係が変化していることを発見?できます。

天体望遠鏡があれば、木星本体の縞模様や大赤斑(だいせきはん)も確認できますし、ガリレオ衛星もよりはっきり確認できます。

10月の星まつり

石川町スターライトフェスティバル

昨年の石川町スターライトフェスティバルの様子(私のブース前で撮影)

夏休み期間中は各地で星まつりが行なわれましたが、10月にも澄み渡った秋空の下で星まつりが行われますので、ふたつ紹介します。

ひとつは福島県石川町で行われる「石川町スターライトフェスティバル」です。あぶくま高原道路の母畑ICから車で3分の母畑レークサイドセンターを会場とし、10月9、10、11日の3連休に行われます。

もうひとつは、富士山を望む御殿場市の馬術スポーツセンターを利用して行われる「富士山スカイドリームス」で、10月16,17日の土日に星見や熱気球体験などを楽しむイベントとして行われます。

いずれも入場料無料。天体観望会、天体望遠鏡などの販売や各種イベント、アクアマリーンのコンサートさらに私の星空解説などが予定されていますので、ご都合にあわせてぜひご参加ください。

くじら座ミラの増光

くじら座

くじら座の写真に星座の線を入れたものです。この写真ではミラは光度が暗いときだということがわかります。星図とともにこの写真と対比してミラをみつけましょう

変光星(変光星)をご存じでしょうか?

明るさの変わる星のことで、現在までの星の観測で多くの星がその明るさを変えていることがわかってきました。

その中で、くじら座のミラという星は変光の度合いが大きく、最大2等星から最小10等星まで332日周期で明るさが変動しています。

そのミラが今年、最も明るくなるのが10月12日頃です。

ぜひその頃、くじら座を見てミラの明るさを確認しておきましょう。そして、くじら座は11月も12月に入ってからもまだ見られますので、最大光輝のころと明るさを比べてみましょう。比べるには、周囲にあるほかの星と比較してみるといいでしょう。

10月の天文情報

曜日月齢天文現象など
22.7下弦の月
23.7 
24.7 
25.7 
26.7 
27.7月が天の赤道を通過(南半球へ) 月の距離が最近 
28.7 
0.3寒露(二十四節気) 新月
1.3りゅう座流星群が極大(出現10月7日~10月11日)
102.3月、金星、火星の接近(夕方の西空)
113.3 
124.3くじら座ミラ(変光星)が極大 月が最南
135.3 
146.3 
157.3上弦の月 
168.3 
179.3 
1810.3 
1911.3月の距離が最遠
2012.3十三夜(後の月) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
2113.3 
2214.3オリオン座流星群が極大(出現10月10日~11月5日)
2315.3霜降(二十四節気) 満月 
2416.3 
2517.3 
2618.3 
2719.3月が最北
2820.3金星が内合
2921.3 
3022.3下弦の月 
3123.3 

10月の星座

10月の空には木星が明るく輝いていますので、その木星を中心に周囲の星座をさがしていきましょう。

現在、木星はうお座にあり、周囲には、うお座、みずがめ座のほかに、ペガスス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座、ペルセウス座、くじら座、やぎ座そしてみなみのうお座などが見られます。星座早見盤や星図をたよりにさがしてみましょう。

秋の空には木星以外は特に明るい星はないけれど、輝いている星々を線で結んで星座のかたちを創り出す楽しみは、本当の本物の自然を相手にしたアウトドアーの楽しみといえます。

ぜひ、チャレンジしてみましょう。

10月の星空(黒)
10月の星座(黒)
10月の星図(白)
10月の星座(白)
※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。
※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。茨城県龍ヶ崎市在住。