ちあきの星空コラム
第133回 惑星の移動を観察できる! (2014/08/01)
夏はやっぱり夏の大三角
毎年夏になると、夏の大三角をみつけ、その三角形を構成する星と星座を中心に、周辺にある星座も探していく方法などの解説をしますが、今年も夏の大三角を案内します。
8月の夜空に煌々と輝くもっとも明るい恒星はこと座のベガです。これをみつけ、次に天の川の対岸にあるわし座のアルタイルをみつけましょう。最後に天の川の中に輝くはくちょう座のデネブをみつけ、これらの3星を結ぶとできる三角形が夏の大三角です。
夏の大三角がみつかると同時に星座も3個みつかるわけですが、他の夏の星座をさらに探す時は夏の大三角との位置関係を星図(せいず)や星座早見を使って位置を確認し、探します。ぜひ、本物の星空で確認してみましょう。
月と惑星の接近
先月に引き続き、今月も土星と火星に月が接近する様子を見ることができます。しかも8月の前半と月末の2回見られます。
最初は8月2~4日に宵の空で火星と土星に近づく月が見られます。
惑星が、日ごろどこにあるのかわからない方にも、月とともにその付近に見られる惑星であれば、その位置さえ図面で確認できれば、じっさいの空の中でみつけることができます。下図を参照して日ごと位置を変化させる月の位置と惑星の位置関係を確認しましょう。
次に、8月31日から9月1日にかけて、やはり火星と土星の付近を月が通過していきます。下図の2枚目のシミュレーション図を参照してください。これを見ると、8月2日ころの火星の位置と8月末の火星の位置が大きく変化していることがわかります。
星座の中を惑星も移動している
惑星は、地球も含めて太陽の周りを公転していますが、地球から見ると惑星は星座をかたちづくる恒星の間を少しずつ移動しているように見えます。
移動がゆっくりですからその様子は一回の観察ではわかりませんが、毎日観察するとその移動の様子がわかります。
下図をご覧ください。8月21日から8月29日までの火星と土星の動きをシミュレーションしたものです。
この様子を観察するのは肉眼でできますので、ぜひ夏休みの自然観察として実行してみましょう。
8月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 金 | 5.2 | |
2 | 土 | 6.2 | 旧暦七夕(伝統的七夕) |
3 | 日 | 7.2 | 月と火星が大接近 |
4 | 月 | 8.2 | 上弦の月 月と土星が大接近 |
5 | 火 | 9.2 | |
6 | 水 | 10.2 | |
7 | 木 | 11.2 | 立秋(二十四節気) 月の赤緯が最南 |
8 | 金 | 12.2 | |
9 | 土 | 13.2 | |
10 | 日 | 14.2 | |
11 | 月 | 15.2 | 満月(スーパームーン)月の距離が最近(本年最近) |
12 | 火 | 16.2 | |
13 | 水 | 17.2 | ペルセウス座流星群が極大 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
14 | 木 | 18.2 | |
15 | 金 | 19.2 | |
16 | 土 | 20.2 | |
17 | 日 | 21.2 | 下弦の月 |
18 | 月 | 22.2 | 木星と金星が最接近 |
19 | 火 | 23.2 | |
20 | 水 | 24.2 | 月の赤緯が最北 |
21 | 木 | 25.2 | |
22 | 金 | 26.2 | |
23 | 土 | 27.2 | 処暑(二十四節気) |
24 | 日 | 28.2 | |
25 | 月 | 29.2 | 新月 |
26 | 火 | 0.5 | 土星と火星が最接近 |
27 | 水 | 1.5 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
28 | 木 | 2.5 | |
29 | 金 | 3.5 | |
30 | 土 | 4.5 | やぎ座α流星群が極大 |
31 | 日 | 5.5 | 月と土星が接近 |
8月の星空
8月の星空は、天の川が濃く見えることもあって星空がにぎやかに見えます。夏の大三角のうちのベガとアルタイルが七夕(たなばた)様の織姫と彦星に相当しますので、天の川伝説のお話しを思いながら夜空を眺めるのもロマンチックでいいですね。
南の空に見えるさそり座やいて座、へびつかい座などもこの時期に見るのがちょうど見やすい角度にあり、観察に適しているといえます。
下図に示す星図で夏の星座をいろいろとみつけてみましょう。
画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。
このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。