ちあきの星空コラム
第128回 明け方の月と金星 (2014/03/03)
明け方の月と金星
先月も明け方の空のご案内をしましたが、3月もまた明け方に美しい光景が見られます。図に示すように3月25日から3月29日まで細い月と輝く金星の姿を楽しむことができます。この期間の中で毎日早起きして眺められれば最高ですが、できない時は快晴が望める天気予報の日に早起きしてぜひこの美しい光景を眺めましょう。
私たちの地球は、自転しながら1年かけて太陽の周りを公転していますが、金星もまた太陽の周りを公転しています。月は地球の衛星ですから地球の周りを公転しています。天体の動きを地球から眺めているのが、日々の星空の光景だといえます。
そうしたことを考えながら星空を見上げると宇宙の不思議を体感できるかもしれませんよ。
それぞれの惑星はどこにあるのか?
金星が明け方の東の空に見られることはわかりましたが、では、それ以外の惑星はどこに見られるのでしょうか?
3月に肉眼でその位置を確認できる惑星を解説します。星座をみつけられれば比較的容易にみつけることができますので、ぜひ探してみましょう。
木星をみつける
木星をみつけるのはとても簡単です。先月のコラムでも述べたとおり、現在ふたご座の中にあり、その明るさから周囲を圧倒するような輝きをもっています。
等級でいうと-(マイナス)2.3等級で、とても明るく輝いていますので、ふたご座の1等星ポルックスなどよりもずっと明るく、瞬かない輝きの様子からも恒星とは異なり、容易にみつけることができることでしょう。
火星は
火星は4月14日に最接近を迎えます。3月の時点でも、もうすでにかなり地球に接近してきていますから、天体望遠鏡で高倍率(100倍以上)をかけて観察すると円盤状に見られ、表面には、さらに模様も確認することができるかもしれません。
位置はおとめ座で、-0.9等級と明るいため、付近の1等星スピカよりも明るく輝いて見られます。来月の最接近に備えて観測を開始しましょう。
土星の姿
3月中旬ころには深夜12時を過ぎる頃には東南の空に高度角20度くらいの高さで見られ、明るさは0.2等級と明るく見えます。星座の位置ではてんびん座の中にあります。土星の観望好機は3月頃から9月頃まで続きます。特に7月から9月にかけては夕暮れ以降の子供も起きている時間帯に見ることができますので、夏休みに各地で開かれる天体観望会でも観望対象になります。ぜひ、環をもったユーモラスな姿を自分の目で確認しましょう。
水星も見えるか?
3月の明け方には水星も見られるチャンスです。
3月5日ころから3月末頃まで夜空が白んできたころ東南東の地平線付近にみつけることができることでしょう。
東南東の視界が開け、地平線近くまで見渡せる場所で観測してみましょう。
3月10日午前5時の星空(全天)です。火星、土星、金星及び水星の位置が確認できます。
この時刻になると木星は既に西の地平線下に沈んでいて見ることができません。
3月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 土 | 29.2 | 新月 |
2 | 日 | 0.8 | 月が天の赤道通過(北半球へ) |
3 | 月 | 1.8 | |
4 | 火 | 2.8 | |
5 | 水 | 3.8 | |
6 | 木 | 4.8 | 啓蟄(二十四節気) |
7 | 金 | 5.8 | |
8 | 土 | 6.8 | 上弦の月 |
9 | 日 | 7.8 | 月の赤緯が最北 |
10 | 月 | 8.8 | |
11 | 火 | 9.8 | |
12 | 水 | 10.8 | 月の距離が最遠 |
13 | 木 | 11.8 | |
14 | 金 | 12.8 | 水星の西方最大離角 |
15 | 土 | 13.8 | |
16 | 日 | 14.8 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
17 | 月 | 15.8 | 満月 |
18 | 火 | 16.8 | |
19 | 水 | 17.8 | |
20 | 木 | 18.8 | |
21 | 金 | 19.8 | 春分(二十四節気) |
22 | 土 | 20.8 | |
23 | 日 | 21.8 | 金星の西方最大離角 月の赤緯が最南 |
24 | 月 | 22.8 | 下弦の月 |
25 | 火 | 23.8 | |
26 | 水 | 24.8 | |
27 | 木 | 25.8 | 月と金星が接近して見られる |
28 | 金 | 26.8 | 月の距離が最近 |
29 | 土 | 27.8 | 月が天の赤道通過(北半球へ) |
30 | 日 | 28.8 | |
31 | 月 | 0.3 | 新月 |
3月の星空
冬の星座でおおわれていた星空のイメージが、3月に入りますと春の星座が現れることによって印象がちがってきます。
空気もどこかやわらかい印象で星空の輝きもどこかやさしさを感じられる輝きに変化してくる季節です。
西空にはまだ冬の星座(オリオン座やふたご座など)が残っていますが、その姿が地平線に向かってだんだん傾いてくるような印象をもちます。
東の空からは春の星座が昇ってまいります。しし座をまずみつけて、その周辺にあるかに座、うみへび座などを次にみつけ、星図を参照しながらおおぐま座、うしかい座そしておとめ座などをさがしていきましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。