ちあきの星空コラム
第126回 冬の星空 (2013/12/31)
アイソン彗星消滅!
11月29日に太陽に最も近づく近日点を通過しようとしたアイソン彗星は、太陽の熱や風によって消滅したとNASAの発表があり、読者のみなさまもそのニュースに驚かれたことと思います。
私も刻々と太陽のそばを移動していくアイソン彗星が、太陽最接近によって残骸を残すのみとなった姿をSOHO(観測衛星)の画像で確認し、唖然としてしまいました。
今年も新しい明るくなる新彗星の話題がほしいところです。なにか情報が入りましたらこのコラムで皆様にもお知らせします。
冬の星空
1月は寒い季節ですが、空気が澄んで星がもっとも輝くように見られる時期です。
1等星が多いことも冬の星空を華やかにしている要因で、オリオン座やおおいぬ座など、すぐにみつけられる星座が多いことも特徴としてあげられます。
さらに上空大気がジェット気流の影響により揺らめきが多く、星がきらきらとまたたいて見られることも星が美しく、神秘的に見える要因になっています。
通勤、通学の帰り道などで足を止めて夜空を見上げ、冬の星空を楽しみましょう。
1月に見られる星雲、星団
1月の星空では、明るい星雲、星団が多く見られます。
夕暮れ時には、秋の星座の中にアンドロメダ銀河(M31)やペルセウス座の二重星団が見られます。
午後8時ころには冬の星座の中で、おうし座にはすばる(M45、プレヤデス星団)オリオン座の中には、オリオン大星雲(M42)が見られます。
いずれも7×50(倍率7倍、対物レンズ口径50ミリ)程度の双眼鏡で、観察すればはっきりと観望できる星雲、星団ですので、気軽に観望を楽しみましょう。
天体望遠鏡で見る場合は、倍率を100倍などといった高倍率にせずに20~30倍程度で観測することをお薦めします。
星図を頼りにぜひみつけてみましょう。
1月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 日 | 29.1 | 元旦 新月 |
2 | 月 | 0.7 | 月の距離が最近 |
3 | 火 | 1.7 | |
4 | 水 | 2.7 | しぶんぎ座流星群が極大 |
5 | 水 | 3.7 | 小寒(二十四節気) |
6 | 木 | 4.7 | 木星がふたご座で衝(-2.7等) 月が天の赤道通過(北半球へ) |
7 | 金 | 5.7 | |
8 | 土 | 6.7 | 上弦の月 |
9 | 日 | 7.7 | |
10 | 月 | 8.7 | |
11 | 火 | 9.7 | |
12 | 水 | 10.7 | |
13 | 木 | 11.7 | 月の赤緯が最北 |
14 | 金 | 12.7 | |
15 | 土 | 13.7 | |
16 | 日 | 14.7 | 満月 月の距離が最遠 |
17 | 月 | 15.7 | |
18 | 火 | 16.7 | |
19 | 水 | 17.7 | |
20 | 木 | 18.7 | 大寒(二十四節気) |
21 | 金 | 19.7 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
22 | 土 | 20.7 | |
23 | 日 | 21.7 | |
24 | 月 | 22.7 | 下弦の月 |
25 | 火 | 23.7 | |
26 | 水 | 24.7 | |
27 | 木 | 25.7 | |
28 | 金 | 26.7 | 月の赤緯が最南 |
29 | 土 | 27.7 | |
30 | 日 | 28.7 | 月の距離が最近 |
31 | 月 | 0.2 | 新月 水星が東方最大離隔 |
1月の星空
1月の星空には、冬の星座が明るく輝いて見られますが、その中にあってひときわ明るく輝くのが、ふたご座にある木星です。
木星は-(マイナス)2.7等級という明るさで輝いていますので、ふたご座の1等星ポルックスや2等星のカストルと比較してみましょう。
そのほかの冬の星座(オリオン座、おおいぬ座、おうし座、ぎょしゃ座、こいぬ座、うさぎ座など)も星図をたよりに探してみましょう。
寒さの中にきらきらとまたたく星空の美しさを堪能するには、じっくり夜空を仰ぐ機会をみつけることから始まりますので、星空を見る機会を意識的につくり、星空を楽しみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。