ちあきの星空コラム
第122回 涼しい9月のスターウオッチング (2013/09/03)
虫の声を聴きながら9月夜空を楽しむ
9月は、夏の名残の暑い日もありますが、夜になるとぐっと涼しくなってまいります。虫の音も涼しさを助長してくれる9月の夜空を眺めてみましょう。
宵の頃は、夏の星座が見られる9月の空ですが、夜半を過ぎるころにはすっかり秋の星座に変わっていきます。
地球の自転とともに巡る星座のゆっくりした動きを確かめてみましょう。夜空を眺め、星座を確認したのち、1時間以上たってから再び同じ星座を眺めてみると位置の変化に気づきます。地球の1日に1回転する自転の動きのせいで、時間とともに見られる星座が入れ替わっていく様子を本物体験することができます。
ぜひ、この自然の営みを体験してみましょう。
9月9日の西の空
9月9日(月)の宵の空には月と金星と土星が集合して見られます。
午後6時30分を過ぎ、だんだんと暗くなっていく中、図のように西南西の夕焼けが残る低空の空に三日月と金星、土星が見られます。
細い月の姿には、光り輝く弓のような形だけでなく、暗い部分が地球からの反射光(地球照)によって薄く見えることがありますので、チェックしましょう。双眼鏡で見るとはっきりとわかります。
9月9日 火星がプレセペ星団の中を通過
9月9日の未明には火星がかに座のプレセペ星団の中を通過していきます。9月9日の未明のできごとなので、8日の夜に早寝をして、深夜9日になったら夜が明けないうちに早起きして、天体望遠鏡を組み立て(あるいは双眼鏡を準備し)、東の空の火星をみつけ、天体望遠鏡などで観察しましょう。夜明け前の午前4時頃が見ごろとなります。
9月19日金星と土星が接近
9月19日の夕方、金星と土星の接近が見られます。
西南西の空に一番星として輝く金星が最も早くみつかりますが、下図を参考にすぐ近くに土星がありますのでさがしてみましょう。双眼鏡があればさらにさがしやすいのですが、肉眼でもきっとみつけることができることでしょう。
コンパクトなデジタルカメラでも撮影できるかもしれませんので、三脚とカメラも用意して撮影にもチャレンジしてみましょう。
9月19日中秋の名月
毎年中秋の名月は、お月見の日として親しまれていますが、今年は9月19日(木)がその日にあたります。
午後6時頃には東の空から丸い大きな月が昇ってくるのが見られ、深夜には天高く明るく輝く姿として見ることができます。
とても美しい月の姿の代償として、星空は月明かりに隠されてほとんど見えませんが、たまにはゆっくりと月を眺めてみるのもいいものです。
9月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 月 | 25.2 | 二百十日 |
2 | 月 | 26.2 | |
3 | 火 | 27.2 | |
4 | 水 | 28.2 | |
5 | 木 | 29.2 | 新月 |
6 | 金 | 0.6 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
7 | 土 | 1.6 | 白露(二十四節気) |
8 | 日 | 2.6 | |
9 | 月 | 3.6 | 火星がプレセペ星団を通過 月、金星、土星が接近 |
10 | 火 | 4.6 | 月が土星の南を通過 |
11 | 水 | 5.6 | |
12 | 木 | 6.6 | |
13 | 金 | 7.6 | 上弦の月 月の赤緯が最南 |
14 | 土 | 8.6 | みずがめ座ν星の星食 |
15 | 日 | 9.6 | |
16 | 月 | 10.6 | 敬老の日 月の距離が最近 |
17 | 火 | 11.6 | |
18 | 水 | 12.6 | |
19 | 木 | 13.6 | 満月 中秋の名月 土星と金星が最接近 月が天の赤道通過(北半球へ) |
20 | 金 | 14.6 | 彼岸の入り |
21 | 土 | 15.6 | |
22 | 日 | 16.6 | |
23 | 月 | 17.6 | 秋分の日 月が天の赤道を通過(北半球へ) 処暑(二十四節気) |
24 | 火 | 18.6 | |
25 | 水 | 19.6 | |
26 | 木 | 20.6 | 月の赤緯が最北 |
27 | 金 | 21.6 | 下弦の月 |
28 | 土 | 22.6 | 月の距離が最遠 |
29 | 日 | 23.6 | |
30 | 月 | 24.6 |
9月の星空
9月は案外雨が多く、星空の見られない日もありますが、晴れた夜の澄んだ秋空は、秋の天の川も見られて、星空が高く見られます。
ペガスス座に見られる四辺形(4個の2等星からなる四角形)を最初にみつけ、周辺の秋の星座をさがしてみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。