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ちあきの星空コラム

第111回 秋にも流星群 (2012/10/02)

秋の流星群

一瞬のうちに輝き、消えていく流星の姿

一瞬のうちに輝き、消えていく流星の姿

夏の間に流星は見ましたでしょうか。10月には秋の流星群が待っています。
10月の流星群はふたつあり、ひとつが10月りゅう座流星群、もうひとつがオリオン座流星群です。
10月りゅう座流星群は以前、ジャコビニ流星群と呼ばれていました。これは、この流星群がジャコビニ・ジンナー彗星に由来するからなのですが、2009年の国際天文学連合の総会で流星群の名前はその原因となった天体(母天体といいます)名を使わないという決定がなされたため、ジャコビニ流星群の名前が消えてしまいました。
この流星群は、1972年にはジャコビニ・ジンナー彗星が太陽に接近したため、大流星群が見られると報道されて多くの天文ファンに注目されました。
しかし、結果的にはほとんど流星は流れず、天文ファンをがっかりさせました。このとき、私も長野県八千穂村(現在の佐久穂町)の山中に陣取り観測を行いました(下部の写真参照)。友人とともにカメラを構え、夜空に流れる数多くの流星を期待しましたが、ついに1個の流星も撮影することはできず、とても残念でした。

1972年ジャコビニ流星群観測風景(長野県八千穂村にて右が私です)

1972年ジャコビニ流星群観測風景(長野県八千穂村にて右が私です)

もうひとつの流星群は、10月21日が極大日のオリオン座流星群です。
母天体が有名なハレー彗星といわれており、1時間あたり10個くらい見られると予想されています。
流星の観測は肉眼で夜空を見つめるだけでできますが、流星の流れた軌跡を逆方向にたどっていくとオリオン座の方角にたどりつくのがオリオン座流星群です。
複数の流星を見た後に、軌跡をたどって、たしかにオリオン座の方角から流れてきたということを確かめるといいでしょう。
ただし、オリオン座流星群の時期でも、群に属さないいわゆる散在流星も見られますので、その区別をつけることも大事です。
さほどむずかしいことでもありませんからぜひ、流星を観測し、オリオン座流星群の数と散在流星の数を数えてみるといいでしょう。

星のイベント秋編

毎年、夏休みの頃は各地で星まつりがさかんに行われ、私も8月上旬に長野県原村の「サマーホリデーイン原村星まつり」に出かけ、天体望遠鏡を持参して多くのお客さんに星を見ていただきました。こうした星まつりが10月にも計画されています。
ひとつは、福島県田村市にある星の村天文台(大野裕明台長)で10月6日(土)~8日(月)に開かれる「星の村天文台スターライトフェスティバル」です。この天文台では昨年3月11日の東日本大震災によりドーム内の天体望遠鏡が落下、破損して使えなくなりましたが、新たに天体望遠鏡が復活しましたので、第1回目の星まつりの開催を行う運びとなりました。行くだけでも復興支援につながります。秋の東北ドライブのかたわらに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
もうひとつは、静岡県御殿場市の郊外、富士山ろくの馬術スポーツセンターで10月13日(土)、14日(日)に開催される「富士山スカイドリームス」(第4回目)です。空と星をテーマにし、星を題材にした歌を数多く歌うアクアマリンのコンサートや昼間は気球や馬に乗ることもできます。
両方のイベントとも夜は天体望遠鏡で実際の天体を見ることができるほか、昼間もプラネタリウムや各種イベントが盛りだくさんで、星好きはもとより、星に興味を持たない方にも十分に楽しめるイベントとして企画されています。
私もこの星まつりの両方に参加を予定していまので、会場で私を見かけたときは、ぜひ声をかけてください。

今年の原村星まつりの様子-昼間から大きな望遠鏡がいくつも登場して見物客が多く集まりました

原村星まつりでの夜の観望会の様子

原村星まつりでの夜の観望会の様子

10月の天文情報

曜日月齢天文現象など
15.0
16.0
17.0金星がレグルスに接近
18.0
19.0月の距離が最遠
20.0月の赤緯が最北
21.0
22.0体育の日 寒露(二十四節気) 下弦の月 10月りゅう座流星群が極大
23.0
1024.0
1125.0
1226.0
1327.0月が金星の南を通過  月が天の赤道を通過(南半球へ)
1428.0
1529.0新月
160.6月が土星の南を通過
171.6月の距離が最近
182.6月が火星の北を通過
193.6月の赤緯が最南
204.6
215.6
226.6上弦の月
237.6霜降(二十四節気)
248.6
259.6
2610.6月が天の赤道を通過(北半球へ)
2711.6十三夜(後の月)
2812.6
2913.6
3014.6満月
3115.6

10月の星空

10月は、秋の星座で空が埋め尽くされます。
夏の星座のはくちょう座から北に延びる天の川にそって、ケフェウス座、カシオペヤ座そしてペルセウス座が見られ、銀砂を巻き散らしたような天の川の輝きとともに美しく輝いて見られることでしょう。
天の川は、光害の少ない地域でしか見ることができませんが、今年は高気圧の張り出し具合から空気が澄みわたり、私の住む茨城県龍ケ崎市内でも8月下旬ころに連続7日間、天の川を見ることができました。この10月にもまた、空気が澄んだ夜空の日に天の川が見られるかどうか観察してみたいと思っているところです。月明かりから10月中旬ころが狙い目だと思っています。
さて、秋の空では天頂付近には天馬の姿をしたペガスス座が見られ、その付近にはアンドロメダ座やうお座が見られます。
南の空にはひとつ星の1等星みなみのうお座のフォーマルハウトが輝いていますし、そのすぐ上部には、みずがめ座などが見られます。
秋の夜長にじっくりと星座を観察して見ましょう。

10月の星空(背景黒)

10月の星空(背景黒)

10月の星空(背景白)

10月の星空(背景白)

10月中旬、午後時前後の星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。この星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。